2024年10月14日月曜日

おろちよ・鬼滅・サブスク

 この3連休でほんの少しだけ、行こうかなという思いが脳裏を掠めつつも、それでも結局は行かなそうな情勢の、おろち湯ったり館なのだけど、思いを馳せた際になんとなく、公式ホームページを開いて見てみたら、サウナの利用に関して、『各自携帯用サウナマットをご持参ください お持ちでない方はご利用いただけません タオルのみでの利用不可』という告知がなされていて、驚く。よそではあまり聞いたことがないルール。おろち湯ったり館にいったいなにが起きたのだ。
 これまでは、山吹色のパイル地に焦げ茶色のパイピングがなされた、あの典型的なデザインの、バスタオルほどの大きさのマットが、座面全体に敷き詰められているというスタイルで、いや、もちろん、不特定多数の人が利用するそこに裸の尻を置くのは、考えようによっては抵抗を覚えることなのかもしれないが、しかしサウナは利用前も利用後も清潔にするのが前提であるから、僕はこれまで特に気にしていなかったし、もしも気にする向きがあるというならば、その人は個人用のサウナマットをその上に敷いて座ればいい、と思っていた。だがルールが変更になったということは、それではよろしくない、ということになったのだろうか。
 以前、第二次島根移住プレスタートのいろいろつらかった時期、体をあまり拭かないでサウナに入室したら常連の老人に叱られて心がぽっきり折れたという出来事があったが、基本的に外部の人間が著しく訪れない、雲南の地元常連客ばかりが信じられない濃度ではびこるおろち湯ったり館のこと、あの輩の訴え次第で施設のルールは簡単に捻じ曲げられそうだ、などと思う(こんなふうに書くとすごく嫌な施設のようだ)。
 だが、ルール変更後に行ってもいないし、情報は一切ないけれど、たぶん今回の件はそういうことではなくて、人件費の削減とかかな、と捉えた。タオルマットは一定時間で交換していたが、狭くないサウナの座面に敷き詰められるだけのマットを、従業員が抱えて持ってきて、その姿が出入り口に現われるのを見るや否や、サウナの中にいた客は一斉に立ち上がり、自分の周辺のマットを取り上げ、中央スペースにドサドサと積み上げ、代わりに新しいマットを受け取って皺のないように敷く、というのが暗黙のルールとなっており(また初見殺しの厭らしさが露見してしまった)、でも僕はそれ自体は、プチイベントな感じでちょっと愉しくて嫌いじゃなかったのだけど、個人用携帯マット必須ということになれば、タオルに関わる交換および、当然バッグヤードにおいて発生していたであろう洗濯の労力も省けるわけで、要するにそういうことなんだろうと思った。
 おろち湯ったり館、このご時世に値上げもしない(それこそ常連の輩の圧力かもしれない)ので、経営状況はいかがなものなのか、これまでも心配する部分はあったが、今回のことはその兆候ということなのやもしれない。それにしても、共用のマットがないのは別にいいが、各人が携帯用のマットを持ってこなければならない(持っていない人は受付で販売しております)というシステムは果たしてどうなのか。そのスタイルの場合、施設側が、あの座布団みたいな個人用のやつを用意するものではないのか。それを運用する余裕もないということなのか。心配は募る。

 すごくおもしろい漫画に出会った。
 みなさん、『鬼滅の刃』って知ってますか。もう連載は終了してしまっているんですけど、すごくよくできた作品なので、ぜひたくさんの人に読んでもらいたいと思い、ヤホーで調べてきたんで紹介していきたいと思います。
 ヤフーだよ。あとみんなもう知ってんだよ。なんならもうブーム終わってんだよ。
 という、まさにナイツの漫才みたいに周回遅れなのだけど、このたび『鬼滅の刃』にハマった。最終23巻の発行が2020年12月のこと。4年遅れ。へそ曲がりにもほどがないか、と我ながら思う。
 逆になぜこのタイミングで読みはじめたかと言えば、晩春くらいに、図書館でたまたま前半の巻が並んでいるのを見かけ、じゃあ読んでみようかと借りて読んだのである。そのあと夏の帰省の際、あの夢のようだったキャッスルイン豊川でも何冊かを読み進め、そしてこの秋、残りの巻をまた図書館で借りて読みきったという次第である。
 ファルマンは途中で脱落し、僕とポルガだけが最後まで読んで、ハマり、そしてそんなふうに保有せず不自由に読んだくせに、最後まで読んだ末に、おもしろかったから持とう、ということになってブックオフで買い揃える、というよく分からないことをした。ちなみに全巻110円だった。当時、異常なブームで異常に売れてたっぽいもんな。
 ところでこの5年ほど、生地選びの際、『鬼滅の刃』関連の、市松であったり麻の葉であったりの文様の柄のことを、わりと疎ましく感じていたわけだけど、いまさらになって、緑と黒の市松模様かっけー! 俺も炭治郎みたいになりてー! と思うようになり、生地が欲しくなった。そうか、だからあいつら(小学生男子)はコロナ禍、猫も杓子もあの柄の布マスクをしていたのか。しかしいまさら布マスクであるはずもなく、どうしたって僕の場合は水着生地ということになり、たしかに御用達の店でも『鬼滅の刃』の各種柄のプリントは販売されているのだが、これまでずっとそのページには見向きもしていなかったのだが、今回ようやくきちんと見てみたらば、緑と黒、ひとつひとつの四角が一辺5cmという大柄だったため、ちょっと水着には不向きそうで、残念だった。もう少し細かいデザインだったら、たぶん本当に買って、水着を作っていた。俺は長男だから我慢できたけど次男だったら我慢できずに買っていたと思う。

 9月から加入したNHKオンデマンドで観ていた『平清盛』を、この夫婦は近ごろ観ないじゃんね。10日前くらいに観たとき、その日眠かった僕が、最後のほうすっかり舟を漕ぎはじめ、それにファルマンが苛ついて以来、すっかり観なくなってしまったじゃんね。
 世間の評判こそいまいちながら、ちゃんと観た人の評価はけっこう高いという触れ込みの『平清盛』だが、どうやら我々はそこまで到達せず、脱落してしまいそうである。『光る君へ』に触発されて観はじめたところがあるわけだが、そちらのきらびやかな絵面に対し、『平清盛』の泥臭さは、なるほどかつての兵庫県知事が苦言を呈したように、だいぶ観る上でのハードルを上げると思う。
 それとこれは作品自体には関係ないが、amazonプライム経由のNHKオンデマンドは字幕機能がないため、それも視聴の障害となっている。晩酌の際に観るので、そこまで大きな音量にできず、『光る君へ』でもそうだが、時代物なんかは特に、わりと字幕に頼って観ているところがある。実際、字面で把握しないと意味が掴めない固有名詞がたくさんあるじゃないか。それでも昔は字幕なんかなかったんだから頑張れよ、と言われればそれまでだが、晩酌しながら観るドラマで余計な神経を使うのはストレスだ。現代人はそんなストレス、受容できないのだ。
 そんなわけでNHKオンデマンドは、たぶん10月でおしまいにすると思う。あと、ここまでつらつらと正当な理由っぽいことを述べてきたが、『愛の不時着』観たさをいよいよ我慢できなくなったファルマンが、このタイミングでネットフリックスに加入したため、みんな大喜びで『T.Pぼん』や『らんま1/2』などを観るようになったというのが、実は身も蓋もない真相だったりもする。ちなみにいま夫婦の晩酌時間では、『イカゲーム』を観てる。わが家はどうも3年から4年ほど遅れて世の中のブームがやってくるようだ。