2019年11月6日水曜日

松下由樹・中川大志・波瑠

 今期のドラマは、「G線上のあなたと私」を観ている。原作があることを知らなかったので、メインキャストのひとりに松下由樹を起用している点に、なんだか制作陣の気概のようなものを感じ、観てみようと思ったのだった。そうしたらちゃんとおもしろい当たりのドラマだったので、ファルマンと毎週愉しく観ている。話は、19歳の中川大志と、27歳の波瑠と、46歳の松下由樹が、バイオリン教室で一緒の授業を受けることになり、そこから友情が生まれ、それぞれの抱える問題や悩みを経て……、というもの(まだ5話なので経ている最中だ)。
 斯様にメイン3人のふり幅が大きいので、その分だけ多くの世代に訴求する要素があるだろうと思う。とは言え36歳男性の僕は微妙に半端で、この3人の誰に感情移入すればいいのか、という疑問はある。ちなみに大学生の中川大志と無職の波瑠はもちろん独身で、くっつきそうな気配がある。松下由樹は既婚で小学生の娘がいて、姑の介護問題を抱えている。その人間模様を冷静に眺めて、そして、えっ!? となる。えっ、俺、もしかして松下由樹? 松下由樹側の人間? ちょ待てよ!

 大学生の中川大志。同性ということもあり、なんならそこの気持ちに俺はなれるよ、と前週までは思って観ていたのだけど、こないだの土曜日、岡山大学の学園祭に行ったろう。そこでリアルの大学生を目の当たりにしたことによって、ああ、俺はやっぱり理人(中川大志の役名)じゃないんだ、ビジュアル的には中川大志に引けを取らないが、どうしたって大学生とはかけ離れた存在だ、ということを痛感してしまった。
 当日にファルマンとも話していたが、今から7年前、練馬から島根に移住する前の思い出巡りで、日芸の所沢校舎に行った際には、ここまでの隔絶は感じなかった。思えば当時まだポルガは赤ちゃんで、29歳と30歳の我々は、大学生に毛の生えたようなものだった。それが7年ぶりに大学生と向き合ってみたら、印象がまるで変ってしまった。大学生が変ったのではない(ファッションはだいぶ変った感じがあるが)。我々が変ったのだ。どうやら子どもが小学生に上がるあたりに、親にとって大きな通過点があるようだ。通過点というか、強制的なセーブポイントのような、そこを通ったら何かが世間的に認められる代わりに、もうその前の世界には戻れないよ、という、そういうものが。

 流行語大賞のための読み返しをしていたら、このブログの5月の記事に、「10年くらい前に高校生や大学生だった世代は実はそんなに驚異のデジタルネイティブ世代ではない」「さらにその下、いま20歳前後の世代、あいつらは本物」という内容があって、それをきっかけに上のふたつも含めて今回の記事を作成した次第である。だいたい8個下(波瑠)と、そのさらに8個下(中川大志)くらいの世代について、35歳の男が言っているわけで、だいぶ主観が入っているが、今回の学園祭でのリアル大学生目の当たりを経て、たしかになあと改めて思った。つまり世代というものは、15年くらいですっかり別物になるのかもしれない。じゃあ僕はなんとか波瑠の目線であのドラマを観てみようではないかと思う。来週は婚活パーティーでえなりかずきと出逢うようだが。