2021年12月2日木曜日

権威・朝ドラ・意欲

 ユーキャンのほうの新語流行語大賞の、結果が出る。大賞は「リアル二刀流/ショータイム
」だそうで、まあ何が来たって「それってどうなのか」となるに決まっているので、内心「それってどうなのか」という思いは煮えたぎるのだけど、別にいい。看過する。ところでテレビのニュースで紹介されていたので印象に残ったのだが、1994年の大賞は「イチロー(効果)」で(他に「同情するなカネをくれ」も)、メジャーリーグでMVPを獲ったふたりがこちらでも同じ栄冠に輝いた、みたいなことをいっていて、栄冠に輝くというよりも、ベストジーニストとかと一緒で、賞のほうが人気者にあやかってるだけではないか、という気も大いにするのだが、しかしそこで94年の授賞式の様子が映し出され、それを見ると、なんと若かりし日のダボっとしたスーツのイチローが登壇していたので、とても驚いた。あの国民栄誉賞を断った(大谷翔平も同じくだが)イチローが、流行語大賞の授賞式には出席していたのだ。その頃はイチローもまだそこまで我を張ってなかったというのもあるだろうが、それと同時に、この賞はかつてきちんと権威があったのだとも思った。そうだった。かつてはあったのだ。そしてこれは、すなわちメディアの権威、活字の権威だと思った。いまはもうそれは完膚なきまでに壊滅しているため、もちろん大谷翔平はこんな式には出席しない。今年の登壇した面々の地味さはどうだ。あまりに身も蓋もなく、無慈悲な言葉なので、なるべくなら使わずに生きていくべき言葉だと思っているが、しかしユーキャンの新語流行語大賞って、やっぱりあまりにも、オワコンだと思う。

 11月から始まった連続テレビ小説「カムカムエブリバディ」がおもしろい。朝ドラの真髄を見ている気がする。ひとつ前の「おかえりモネ」の時期、僕はまあまあ朝ドラを観ることのできる生活リズムで暮していたのだが、ファルマンが観ているのをたまに横で眺めるくらいで、ぜんぜん魅かれなかったのが、今はわざわざ録画して観ている。それくらいちゃんとおもしろい。ヒロイン3人による3世代の物語ということで、別にひとり2ヶ月と決まっているわけでもないだろうが、どうしたって話の展開は早くなり、テンポがよくていい。あとやっぱり世代もの、大河ものって、第1部に出ていたあの子どもが第3部で謎の老人として再登場、みたいな、胸熱な展開が望めるので、そういう意味でもこれからどんどんおもしろさを増していく期待が持てる。朝ドラがおもしろいと暮しが愉しくなっていい。

 鳥取旅行のあと体調を崩したこともあり、プールに行っていない。月間会員なので、なるべく行かないと損なのだが、あまり気が進まないときに無理して行っても余計に損というか、行こうかなあどうしようかなあ、行くの億劫だなあ、行かないことにしたら楽だなあ、得だなあ、などと思考したりするのだから、もはや丸儲けならぬ丸損である。具合もよくなってきて、行きたい気持ちも徐々に湧きつつあるが、それでも億劫さが頭をもたげるのは、ひとえに鳥取旅行のあとに襲来した山陰の冬の気候が原因だろうと思う。生活リズムそのものは変わっていないので、前はあれほどあったプールへの情熱を変化させる要素といえば、それしかない。山陰の冬の気候は、ありとあらゆる意欲を、減退させる力を持っている。抗わなければならない。必死に抗わなければ、終わる。人が終わる。プール行こ。