2019年10月16日水曜日

犯罪・季題・アメフト

 慶応アメフト部。部員による合宿中の女風呂盗撮で活動無期限自粛。
 ひどい事件だと思いますよ。はい思います。被害者女性の心の傷。かわいそう。やった奴めっちゃ悪い。最低。許せない。このあたりでもういいですか。そういう観点、もちろんあります。ある上で、女風呂の盗撮という行為(由々しき犯罪ですよ)に対して、どうしても一定の微笑ましさを持ってしまう。駄目なのか。現代は女風呂の盗撮に対して、どこまでも冷酷に断罪しなければならないのか。別に「男子のそういう性欲って仕方ないからね」と、前時代的に、女子の権利を退け、男子を優遇するわけではない。この事件の加害者と被害者の性別が逆でも、僕はまったく同じことを思うだろう。「異性の裸、見たいよね。ベッドで恋人に見せてもらうとか、あるいはAVとかじゃなくて、素の状態の裸っていうものにもまた、格別の興味があるよね」と、理解を示す。もちろん、あくまで「理解を示す」である。許してあげようよ、と言っているのではない。やったことは紛れもない犯罪だ。でも犯人の学生のことを、性根が腐った人間のように扱うのはどうかと思う(もっとも動画を他人に送信して拡散したそうなので、そこのところは純粋に悪い)。この事件で思い出されるのは、稲村亜美による中学生野球大会でのホットパンツ始球式のことだ。性欲は、獣欲だから、どうしても暴走するときがある。それをなるべく暴走しないように努めるのが、獣ではない人間というものだが、しかし暴走してしまったからと言って、いちいちちんこをちょん切るわけにはいかないだろう。男性の性欲を憎むあなたたちは、そんなにちんこをちょん切りたいか。そんなにちんこをちょん切って、一体どうしたいのか。罪を憎んでちんこ憎まず。いや、こんなこと言うと、やっぱり男根至上主義みたいに取られてしまう。違うんだ。いや、そうだけど。

 季節が巡った。ようやくだ。今年は本当に遅かった。巡ったら巡ったで、早くも寒い。ちょうどいい期間が短い。と言うかほぼない。近ごろ本当にそうなってきている。もうこうなってくると、暦とか、それに合わせた季節の捉え方なんてものは、完全に瓦解したと言っていいと思う。10月でも冷房が入る。ススキはセイタカアワダチソウに駆逐される。サンマは獲れない。「ここからは暦の上では秋」とか、「それは秋の季語ではない」とか、とてもくだらない。そんなことに拘泥することは、滅亡した王朝の法律に従うようなものだと思う。もうそんな法律で新王国は動いていないのに。新王国は、学年題で法整備が進んでいるのに。

 慶大アメフト部の事件の報道では、必ずと言っていいほど「去年は日大で悪質なタックル問題があったアメフト部」というフレーズがついて回っていて、なんとも言えない気持ちになる。そもそも意図が判らない。これは日大イジりなのか、それともアメフトイジりなのか。「アメリカンフットボールをやってる奴らにろくな奴はいねえ」ということを言いたいのか、「大学アメフト部の起した事件と言えば、みんな大好き悪質なタックル大学こと日大(笑)」ということを言いたいのか。たぶん両方ともだろう。イジる対象は多ければ多いほど、そのぶん味わいが濃厚になるから。日大としてはとんだとばっちりであり、卒業生としては義憤に駆られる。もちろん嘘だ。むしろそれぞれの事件の内容からすれば、悪質なタックルよりも、女風呂の盗撮のほうに、仲間意識を感じる。僕はアメフトの試合に勝つために悪質なタックルをすることは、未来永劫絶対にないが、女風呂の盗撮は、7回ほど生まれ変わったら1、2度くらいはする気がする。だからなにが言いたいかと言うと、日大は許さなくていいけど、慶大は許してやればいいと思う。