2019年3月5日火曜日

プリキュア・ペリーヌ・プリキュア

 地方局による毎朝の放送により、ピイガが去年の暮れからプリキュアに嵌まり、しかしそんなタイミングでの覚醒だったので、もう話の終盤だった本放送中の最新作「HUGっと! プリキュア」には途中参加できず、先月より始まった「スター☆トゥインクルプリキュア」から、ピイガ(わが家の)のきちんとリアルタイムで観るプリキュアの歴史が始まった。
 そしてリアルタイムで観てみたら、プリキュアって本当にすごい。なにがすごいって、マーケティングがすごい。ものすごい商売の仕組みが出来上がっている。お店に行けばもう「スター☆トゥインクルプリキュア」のものだらけ。それを見るたびに「ほしい!」と言うピイガ。まずい。我々は「キラやば」な世界に突入してしまったらしい。スーパーに行くたびにいろいろ見つけ、とても面倒臭い。極めつけはなんてったっておもちゃだ。プリキュアに変身するためのおもちゃ。スターカラーペンダントですって。5000円とかですって。もちろん「ほしい!」。これまでほぼ無菌状態で、オセアニアの有袋類のごとくのどかに生きてきたので、それらが海の向こうからやってきた伝染病や犬によってあっという間に絶滅の危機に瀕したように、うちの娘はコマーシャルへの耐性が途轍もなく低いのだった。非常にまずい。キラやばだ。

 毎日1話放送で、CMはプリキュアとは一切関係ない、旅館とか銘菓とかのものが流れていた、地方局の例の放送は、観はじめた「スマイルプリキュア!」から「ドキドキ!プリキュア」へと進み、それが先々週くらいに終わったあと、次は「ハピネスチャージプリキュア!」かと一家で愉しみにしていたら、たぶん最近のほうの作品になるにしたがって放映権料が高いとか、そんなような事情に違いないが、ここでいちどプリキュアの流れがぶった切られて、それで翌日からなにが始まったかと言えば、「ペリーヌ物語」なのだった。
 「ペリーヌ物語」は1978年に放送された、世界名作劇場の流れの作品で、エクトール・アンリ・マロの「家なき娘」を原作とした、とても味わい深く、とても地味で、とても貧乏臭い話である。もちろん魔法少女に変身なんてしない。父親が死んで、母親と懸命に生きようとするが母親も死んで、孤児になったペリーヌも栄養失調で死にかけたりするらしい。つ、つらい……。
 なにより、これまでのプリキュアからの落差である。なんだか地方局の編成担当者の強烈なメッセージを感じる。ペリーヌはパンがなくて死にそうなのに、スターカラーペンダント(プラスチック製、約5000円)を欲しがるなんて現代の子はおかしくないだろうか。担当者はそういうことを言いたいのかもしれない。僕もまったくもって同感だ。
 毎朝その時間にテレビを観るのが慣習になっていたため、ファルマンとピイガは「ペリーヌ物語」を観ているらしい。当然ピイガは白けた反応のようだが、ファルマンはやけに嵌まっていて、ペリーヌ母娘のモノマネをすごいしてくる。俺の妻、1978年放送の「ペリーヌ物語」のモノマネを、なんかすごいしてくる。どうしてしまったんだ。

 それはそれとして「スター☆トゥインクルプリキュア」の話に戻るのだが、これに出てくるキュアミルキーが非常にかわいい。2話の変身シーンを観た瞬間から、心を奪われた。なんか「スター☆トゥインクルプリキュア」は、昨今のラノベ発信とかの得体の知れないアニメについていけず、すっかりアニメ離れした僕のような親世代にも、すごく訴求する要素が詰め込まれていて、とてもいいのだった。ずいぶん久しぶりにアニメのキャラクターを純粋にかわいいと思った。天にあまねくミルキーウェイ! キュアミルキーですよ。今年のプリキュアは変身の際、歌を唄うのが斬新でいい。
 思わずLINEのプロフィール画像を、朝青龍からキュアミルキーに替えてしまった。母親とか、職場の人とかもいるのに、やってしまった。でもこんなとき娘がいるといい。ほら、娘がさ、プリキュア好きだから。まあピイガが好きなのはキュアセレーネなんだけども。