2018年7月18日水曜日

耳すまスタンプ・親知らず・宮崎

 びっくりした。LINEに「耳をすませば」スタンプが登場した。こわい。だって別にいま、「耳をすませば」、世間的にぜんぜんブームじゃない。僕の中でしかブームじゃないのだ。
 僕の中のブームと言えば、先日、LINEの画面を「耳をすませば」にしたことについて、以前に職場でLINEを交換した人に、「どうして「耳をすませば」に?」と問われて、しかしあんなツッコまれ待ちみたいなことをしておきながら、この問いかけに対する軽妙な回答というのを、不覚にも僕はまったく用意していなかったので、現実に人と相対しているとき特有のキョドり方をしたのち、「み、「耳をすませば」に、ハマってるから……」と、なんにもおもしろくない返答をした、ということがあった(「ああ……」と言われた)。
 そんな哀しい出来事もありつつ、このタイミングで降って湧いたような「耳をすませば」スタンプである。瓢箪から駒とはこのことだ。アプリを入れるにあたっていろんな情報を吸い取られる仕組みでもって、ピンポイントで気を回されたんじゃないかという疑念さえ生じる。だって本当に、あまりにもあまりにもなタイミングではないか。本当にこわい。
 ちなみにスタンプの種類としては、「いいよ」や「オッケー」、「ありがとう」みたいな、いわゆる汎用性の高い素材に加え、聖司による「大好きだ!」、「オレと結婚してくれないか」など、使う場面が限られ過ぎるものなどもあり、まあまあおもしろい。先日、俺が勝手に考える「耳をすませば」スタンプということで挙げた中では、「コンクリートロードはやめたほうがいいと思うよ」「おーい答えてよ」「やな奴やな奴やな奴!」「ちがう、お前なんかじゃない!」、そして杉村の「お前(のこと)が好きなんだ!」が合致した。まあまあの正解率だと思う。
 そう言えばあの記事を投稿してから思い至ったのだが、上の実際にスタンプにもなった「おーい答えてよ」と同じ用法になるとは思うのだが、聖司の「コンクリートロードはやめたほうがいいと思うよ」に対して放つ雫の「読んだなー!」も、既読になったのに返信を寄越さない場面で使えるんじゃないかなー、と思っていた。それはスタンプになっていない。あと雫の母による件の「それって今やらなくきゃいけないことなの」も不採用だったが、父による「勉強よりも大切なことなのかい?」というのは採用されていた。雫の父は他にも「自分の信じるとおりやってごらん」や「戦士の休息だな」(これはいいと思った)も採用されていて、スタンプ制作者の贔屓を感じる。母親は台詞なしで、雫の成績低下について頭を悩ませるイラストだけがスタンプになっているのだが、それなら「勉強よりも……」ではなく「それって今……」を採用すればよかったんじゃないかと思います。
 そしてなによりいちばん大事な部分だが、杉村の「わっかんねーよ!」(本当は「わかんないよ」)はスタンプになっていなかった。杉村は前述の「お前が好きなんだ」と、「いいよ」だけ。杉村の「いいよ」ってどこだよと検索したら、「原田、あのことだけど俺の方から断っとく。ごめんな」「ううん。私こそごめんね」「いいよ」というやりとりが見つかった。……そ、そこ!? 杉村の、そこ!? なんで? これは大いに納得がいかない。
 でもまあとにかくスタンプになったことはめでたい。初めてスタンプを買いたいと思った。でもなんかラインポイントみたいなことを言ってきて、意味がわからない。困ってファルマンに相談したら、ファルマンが買ってプレゼントしてくれた。やったね! オレと結婚してくれないか。

 先日の親知らずの話をここに書いた夜から、痛みがピタッと止まったのだった。
 歯のこういうところが気色悪い。それまで調子に乗って痛みを主張していたけれど、いざ宿主が、お前そんなに痛むのなら抜いちゃうぞ、という姿勢を見せると、途端におとなしくなる。抜かれたくなくておとなしくできるのならはじめからそうしろよ、と思う。それでどうなんだ。お前はもう大丈夫なのか。痛まないのか。ええ。ええ。痛みません。痛みませんとも。パピロウさまの体調が悪かったり、生活がバタバタしていたり、そういうときまで決して痛みません。お前のそういうところだ。

 ポルガの小学校からの便りで、学校の全職員のプロフィール紹介みたいのがあり、最初は別に興味がなかったのだけど、なんとなく漫然と眺めるにつれ、だんだんおもしろくなっていった。質問項目は、マイブームと、好きな有名人と、好きな言葉で、こんな無難な項目でも、50人以上の人間が回答すると、けっこうそれぞれの個性が出るのだなと思った。自分だったらどう答えるか、というのも考えて、好きな有名人で悩んだ。ファルマンは定番の稲葉浩志で、こういうときファンの相手がいると便利だなと思った。悩んでいたらファルマンが「小沢健二は?」と言ってきて、ファルマンによる、僕は小沢健二が好き、というイメージは本当にいつまでもしつこい、とうんざりした。当時はとても好きだったし、今もまあ好きだけど、でも別にそういうんじゃない。そもそも好きな有名人というのを訊かれて歌手を答えるほど音楽好きではない。じゃあ誰か、ということを考えて、まあ僕だったらこの回答欄には宮崎駿と書き込んでおくかな、と思った。小学校のお便りに宮崎駿。これだけでなんとなく不穏さがあるが、駿というところを間違えて勤と書いたらもう校長に呼び出される。