2024年6月11日火曜日

草刈・茶碗・売上

 6月なのでもう季節は終わったのだけど、2年前より1年前、1年前より今年と、島根県におけるオオキンケイギクの分布が、じわじわと広がってきているような気がする。希望的観測かもしれないけれど。岡山では群生地がたくさんあって、5月中旬あたりはそれはもう見事なものだったけれど、島根に来て以降、この地はまだあまり侵食されていないようで、寂しく思っていた。そのためこの2年の傾向は嬉しい。ただしあまり大きな声では言えない。なるべく生やしてはいけない、駆除対象の花だからだ。でも本当に鮮やか。好きな黄色。毎年うっとりする。
 岡山県と島根県の違いとして、島根県は草刈りに熱心だと思う。たまたまかもしれないが、岡山時代はあまり身近で草刈りの話は聞かなかった。島根はすごくする。町内でもするし、職場でもする。男たるもの、草刈り機の1台や2台は持っているのが当然という風土だ。なぜなのかはよく判らない。植物の繁茂は、温暖な岡山のほうが度合が激しいのではないかと思うが、反応は逆である。もしかするとJAの権威の強さが関係しているのではないか、と睨んでいる。なんとも田舎臭い話だな。
 オオキンケイギクも、もっとはびこってほしいと願う気持ちがあるが、あまりに目立ちすぎるとJAを頂点とする島根草刈り族に目をつけられて抹殺されてしまう気もして、やきもきしている。

 ふいに平日の休みがあって、家で過したのだけど、ファルマンは仕事をしていて、そうなると自然と僕が昼ごはんを作る流れとなり、暑かったのでざるラーメンにした。ちょうど2日前に作った煮豚が残っていたし、そこへ茹で野菜と茹で玉子も添えた。支度を整えてファルマンを呼んだら、テーブルに乗ったそれを見て、「なにこれ! すごい!」と驚かれる。驚くほどのものではないと思う。
「じゃあお前はいったい、普段の昼になにを食べているのだ」
 と訊ねたところ、
「茶碗」
 という答えが返ってきたのでとても驚いた。
 ずいぶん前に日記に書いたが、ファルマンに晩ごはんのメニューを訊ねた際、「豚肉」という、それはメニューではなく食材だ、という答えが返ってくることがままあるのだけれど、今回のやりとりはそれをも凌駕する衝撃であった。それはメニューではなく、食材でもなく、とうとう食器だ。とんでもない境地だ。
 意味は分かる。炊飯器に残っていたごはんを茶碗に盛り、それをなんかしらのもので食べるということだろう。そしてそれはもう、日々「なんかしらのもの」としか言いようのないものなのだろう。
 分かるよ、分かるけどもさ。
 
 初めてのことだったのでどぎまぎしたが、商品は無事に相手に届き、売り上げになった。とても嬉しかった。
 事前に説明は読んでいたけれど、本当に相手の住所も知らずに投函して、そしてそれがきちんと配達されるというのが、すごいシステムだなあと感動した。なので僕は、僕の作った水着が、日本のどこらへんに行き、どのあたりのプールで穿かれるのか、まるで分からない。ただ思いを馳せるのみである。とてもドラマチックだ。
 1回売れたことで評価もついて(星5つだ!)、さらには優良発送者です、みたいなマークまで付いた。これまで他の人の出品ページでそんなところに気にしたことがなかったが、気にする人は気にするだろう。というか実績が0の人からはなかなか買う気になるまい。まだ1じゃないかという話ではあるけれど、0と1の差は大きかろう。
 やあよかった、これから忙しくなるかもしれないな、と思って、今回の収益よりもだいぶマシマシの金額で、新しい生地を注文した。在庫を増やすぞ!