2022年12月6日火曜日

シーズン・サッカー・ヘアー

 寒いったらありゃしないじゃないか。いまちょうど寒波がやってきているから、ということが言われるけれど、週間予報を見ても最高気温はずっと15度に達しない。そりゃあそうだよ、12月なんだもの、と言われたらそれまでだけど、これまで5月あたりから半年以上、熱が豊富な環境でのうのうと暮してきたので、急に過酷な境遇に置かれ、困惑している。気温お坊ちゃまなのだ。気温お坊ちゃまなので、寒波民が恭しく差し出した12度を、「こんなの嫌だよ!」と言って叩き落してしまう。それは寒波民たちが、子どもらの分も含め、それぞれ食事の量を減らし、やっと工面したものだというのに。もっともはじめはそんな態度だった気温お坊ちゃまも、ひと月もすればすっかりここでの暮しに順応し、寒波民の子どもたちに混ざって、8度を競い合ってむさぼるようになる。とは言え今はまだ過去の栄光が忘れられない。当たり前のように20度以上が与えられていた時代のことばかり考えてしまう。普通にしていたら手がかじかんでくるような寒さの中、さらに日も短く帰宅時は真っ暗となると、いよいよプールに行く気力は湧きにくい。プールの水は温かいし、泳いだあとは熱いシャワーを浴びて、むしろ普通に帰宅するよりも体が温まった状態で帰ることになるのだと、頭では解っていても、どうしたって足が向きづらい。これはあれだな。いわゆるひとつの、あれだな。シーズンオフだな。

 サッカーW杯の決勝トーナメント1回戦で日本代表が負けた。つまりベスト16。これまでベスト8に進んだことがないということで、悲願だったわけだが、残念な結果となった。僕自身は、そこに対する思い入れのようなものはもちろん持ち得ないわけだが、なんにしろかんにしろ、ギャグマンガ日和でも言われていた通り、トーナメントというのはそれだけで盛り上がるわけで、勝ち進んだらもっとおもしろかったのになー、という思いがある。軽いな。そりゃあ軽いよ。サッカー観たの4年半ぶりだよ。
 最終試合となったクロアチア戦は、月曜日の深夜零時(つまり火曜日)キックオフという、真っ当な社会人にはずいぶんハードな日程で、もちろん試合が始まる前に就寝したわけだが、ふと2時20分あたりに目を覚まし、スマホで確認したら、1対1で延長戦をしていて、PK戦になりそうな気配だったので、これは観るべきだな、と思ってリビングに行き、テレビで決着がつくまでを見届けた。そしてそのあとまた寝た。
 前回のスペイン戦しかり、今回のクロアチア戦しかり、僕の、試合中継を前にして寝るは寝るけど、終盤のわりといいタイミングで自然と目を覚ます能力は、どうもなかなかのものだな、と思った。サッカー日本代表は負けてしまったけれど、僕のこの能力は、もしかすると世界のベスト4くらいに食い込むかもしれない。

 髪が長い。もう十分に結べるくらいに長い。嬉しい。いつから切っていないのだっけと日記を振り返った結果、今年の5月21日の「hophophop」に、長髪のままブリーチしてド金髪にしたらあまりにもヤバい感じになったので仕方なく切った、という記述があり、どうやらこれ以来切っていないようだ。つまり現在、6ヶ月半か。なかなかだな。ファルマンはもちろん「切らせろ」「切らせろ」と日々言ってくるのだが、こちらの心は盤石だ。「前髪が分かれておでこが出てて変だよ」とか、「小汚いよ」とか、「得体が知れないよ」とか、あの手この手で説得しようとしてくるが、「いい」「大丈夫」「ノーセンキュー」と、すべて泰然と受け流している。5月の当該記事に、「39歳の僕は、たぶん弓道部の副主将みたいな黒髪ポニーテールをしている」という文言があり、そこへの準備は着々と整いつつあると言える。なにぶんこれから寒くなる一方なので、切らないことへの大義名分があるのがありがたい。こんなに寒く、心身ともにやられかけている人間に、さらに首元を寒々しくしろって言うんですか。そんなの虐待じゃないですか。裾野市じゃないですか。