2022年10月18日火曜日

会員・新しい形・インスタはるか

 10月に入ってから、通っているプールにひとつの変化があった。これまで、本当にあった怖い話のごとく、「行ったら必ずいる人」というのがいたのだが、その人の姿がぱったりと見えなくなった。これは一体どうしたことかと考え、もしかしたらあの人は、4月からの半年会員だったのではなかろうか、と思った。10月に入り、日が暮れてからの気温ががくんと下がるようになって、それでもせっせと通ってはいるのだけど、あたたかい時期だけの半年会員という選択も、あるにはあるな、などと、勝手に決めつけ、勝手に得心している。たぶん経験値が違う。なにぶんこちらは初めてなのだ。実はその初めての1年会員も、ただの1年会員ではなく、それよりも当然ながら金額が上乗せになる、家族会員というものを選んでいた。そんなわけで夏場は頻繁に娘たちを連れてプールに行ったのだが、子どもというのは夏以外にプールに行くと、わりと如実に風邪を引くものなので、1年のうち3、4ヶ月くらいしか利用できないということに、夏が終わったところで気付いた。なので家族会員ははっきり言って失敗だった(ちなみにファルマンはとうとういちども行かなかった)。来年以降、自分の1年会員はやったとしても、家族会員にはしない。経験値を積んだ。こうした経験の末に、4月から9月までの半年会員というスマートな境地はあるのだろうと思う。

 りゅうちぇるの言い放った「新しい家族の形」が、聞いた当初からおもしろかったが、いつまでもおもしろく、愛しい。ぜひ流行語大賞にノミネートしてもらいたいと思っているが、微妙なデリケートさも孕んでいる感じがあり、果たしてどうなのだろう。関係者は慎重に打診してもらいたいと切に願う。
 もちろん「新しい〇〇の形」という大喜利的な使い方も魅力的である。なんてったって多様性の時代ですから。全員共通の理想を追い求める時代は終わっていますから。それはちょっとどうなんだろうと思われるようなものでも、「新しい〇〇の形」と名付けてしまえば、周りはもう、ぐうの音も出ない。ぐうの音を出したら叩かれますからね!
 新しいセックスの形。新しいマスターベーションの形。新しいセクハラの形。新しい痴漢の形。新しいちんこの形。
 みんなちがってみんないい。

 10月から始めたインスタグラムを、今のところ毎日投稿している。
 いま投稿と言ったが、これに違和感を抱かなかったあなたは古い。インスタグラムにおける、「送信」なり「投稿」なり「公開」なりの、要するに作成した記事をアップするボタンの名称は、「シェア」だ。シェアなのだ。ウェブログとはそもそも目的が違うのだ。そんなに違うことってあるかよ、とそれを目にしたときは大きな衝撃を受けた。インスタグラムって、ウェブ日記とかブログとかをまったく知らない星の人が作ったものなのかもしれない、と思った。前にも書いたが、投稿内容は画像ありきで、文章は「キャプション付けます?」くらいの扱いでしかない。画像や映像に対して、文章ってそんな程度のもの、という事実は、これまでもいろいろな場面で痛感していたが、それをまざまざと見せつけられ、さすがにちょっとショックだった。なにぶん僕はほら、日本大学芸術学部キャプション学科出身だからして……。
 投稿にはぽつぽつと「いいね」が付けられている。「ハンドメイド」というハッシュタグを置いているためだろう、時折、ほっこり系ハンドメイドマルシェみたいなアカウントから、いいねが来ていたりして、大丈夫か、と思う。女の子が穿くようなショーツを穿きたくて自作している男の、ひたすらちんこ周りの話だぞ。ちゃんと読んでいるのか。読んでいないんだろう。まあハンドメイドイベントの主催者なんてそもそもだいぶ胡散臭いしな。見せかけだけで、内実はぜんぜんほっこりしていないに違いない。あと、プロフィール画像が綾瀬はるかのアカウントからもたびたびいいねが来ていて、この人は自分ではなにも投稿していないので素性はまるで分からないのだが、僕は実は本物の綾瀬はるかなのではないかと疑っている。逆に綾瀬はるかの画像を使って、まさか本物の綾瀬はるかだとは思われまいと思って油断している、どっこい実際の綾瀬はるかだと思う。そうか、はるかは俺の作ったショーツが、俺のちんこ周りの話が、好きか。さすがだな。