2022年10月10日月曜日

裸・さんま・整理

 急にガクンと寒くなったので、久しぶりに服を着て寝た。寒い時期は裸で寝なかったかと言えばそんなこともなくて、今年の2月3月あたり、まだぜんぜん寒かった時期から、僕は裸で寝始めたように思う。それでも今回は「急にガクンと」だったので、体や布団が追い付かないような気がして、仕方なく服を着て寝たのである。ちなみに上下ともである。
 その結果、どうだったか。裸で寝る信仰の人々が言う、衣服のゴムが血流を止めて体の調子が悪くなる、なんてことにはもちろんならない。逆に、久しぶりにそちら側に戻ってみたら意外と快適だった、ということもない。なんにも変わらなかったのである。服を着て寝ても、裸で寝た感じと、なんにも変わらなかったのだ。
 これは一体どういうことかと考えて、この半年あまり裸で寝続けた僕はもう、たとえ服を着ていても、裸で寝るように寝ることができるようになったのではないか、と思った。つまり裸で寝ようが、服を着て寝ようが、僕は裸で寝ているのだ。服を着ているタイプの裸で寝ている、と言うこともできる。ヌーディストたちは、裸のことを、裸ではなく、空衣をまとっているのだ、と主張するらしいが、逆もまた然りということか。人生は気付きの連続だな。

 さんまを食べる。新物である。9月になると、まるで新物のような素振りで、実は去年の解凍物らしいものが店頭に並ぶが、そこらへんのトラップには十分注意をして、おそらく正真正銘の新物らしいものを買って食べた。ちなみに1尾180円。ひと昔前の感覚からするとちょっと高い気もするのだが、サバやサケもじわじわ値上がりしているため、相対的にあまり抵抗なく買ってしまった。おそろしい話である。
 少し細身のような感じもあったが、それでも生さんまなので、おいしかった。もう今年の初物の生さんま、という時点で、おいしくなければ嘘と言うか、自分がこれまで日本で生まれ暮してきて築いてきたものが瓦解する感じがあるので、たぶんだいぶ思考停止でおいしかったと言っている。それでいいのか。いいのだ。

 3連休だったので、ずっとやりたいと思っていた、机周りの整理をする。どうも机周りの整理という行為を、半年にいちどくらいの頻度で大々的にやっている気がする。気のせいだろうか。今回は物をよく捨てた。結局、捨てなければこのごちゃごちゃが改善されることはないのだと喝破し、だいぶ冷徹にゴミ袋に投げ入れた。投げ入れたものは、かつて自分が必要だと思い、買ったり作ったりしたものだ。だからそれを捨てることは、その当時の自分のきらめいた気持ちも一緒に捨てることなのではないか、などと思う。危険な発想である。ばっさばっさと捨てた。布マスク作りに関する資材は、さすがに捨てはしないものの、だいぶ奥のほうへと追いやった。パパポッケマスク、爆売れするって確信していて、めちゃくちゃ材料を買い込んだのだよな。ダブルガーゼ、マスクゴム、ゴムストッパー……、マスク何百枚分もあるあれを、一体どうすればいいのだろう。数十年後くらいに、またなにか流行るかな。なんてね。僕がこのマスク材料を再び必要としない世の中が続けばいいなって思うよ……。半日かけて、へとへとになりながら、整理は完了した。とてもよくなった。とても機能的になったので、もう散らかって混沌とすることは二度とないと思う。僕の机周り整理史は、今回のこれによって終止符が打たれたと思う。