2021年11月9日火曜日

遠慮の塊・ユーキャン・アル中

 多人数で大皿料理を食べているとき、たとえばそれが唐揚げだとして、最後の1個が残って、みんな取りづらい、遠慮の塊などと称される、そういう場面があるだろう。ああいうときってどうすればいいのか、自分の中で結論が出たのでここに記録しておく。
 僕が考えた方法、それは、たとえばテーブルを囲んでいるメンバーが5人であるとしたら、唐揚げが残り5個になったときに、「唐揚げをいまからひとり1個ずつ取ろう」と提案する、というものである。こうすれば後腐れなく、遠慮することなく、きれいに皿を片付けられる。すばらしい手法だと我ながら思う。
 またこの手法を思いついたのが、実地による演習を重ねた結果ではなく、あくまで思考の結果だ、というのも尊いと思う。多人数で大皿料理なんて、コロナ前もコロナ後も、一向にする機会がないにも関わらず、その際に発生する問題とその解決策を考えるだなんて、もはや僕はファンタジー作家の域に入ったのかもしれない。

 今年あえなく開催を見送ったcozy ripple新語・流行語大賞を嘲笑うかのように、ユーキャンのほうの候補語30が発表される。これがまあ、毎年どうしたって敵陣営としてやいのやいの僕はいうわけだが、それにしたって今年は例年以上にひどくないか、おたくも今年は見送ったらよかったんじゃないか、といいたくなるラインナップで、度肝を抜かされた。
 毎年の、「それは流行語ではなく流行」部門には、「イカゲーム」「うっせぇわ」「ウマ娘」「マリトッツォ」などが並ぶ。
 4年にいちど(今回は5年だが)の、「どうしてもオリンピックから流行語を出したいんじゃ」部門には、「エペジーーン」「カエル愛」「ゴン攻め/ビッタビタ」「13歳、真夏の大冒険」「スギムライジング」「チキータ」「チャタンヤラクーサンクー」「ピクトグラム」「ぼったくり男爵」と、要するにオリンピック関連の流行語なんて存在しなかったのだな、と思わせる言葉ばかりが並ぶ。それなのに関連語が8個も挙がるのだから、全体のパワーの弱さが如実に表れている。特に「カエル愛」がひどい。入江選手に関しては、「サンキューベリーサンキュー」という、きちんと流行語めいたフレーズがあったのに、いったいなんなのだ。なんなのだ、「カエル愛」という言葉は。彼女がカエル好きというのは知っている。それで「カエル愛」か。そんなのありか。なんだその不思議なセンスは。
 あとこちらも毎年恒例の、「わしはどうしても野球に関する言葉を入れたいんじゃ」部門からは、「ショータイム」と「リアル二刀流」がノミネートされ、今年も無事、誰かは知らないが、この部門に並々ならぬ情熱を持つ御仁の満足がいったことだろうと思う。そして来年は、新庄剛志が日ハムの監督になったことで、この部門は安泰だろう。
 ちなみに新型コロナ関連語からは、「変異株」「自宅療養」「副反応」「人流」「黙食/マスク会食」が選出。「黙食」で白けるが、それ以外の言葉はたしかに時世の新語だな、と思う。特に「副反応」という言葉は新鮮だった。副作用と微妙な使い分けの副反応。まさかそんな部分の言葉の使い分けへの意識が高まる日が来るだなんて。
 まあだいたいそんな感じ。大賞が「ぼったくり男爵」になってバッハが登壇したらおもしろいな。

 近所のスーパーでは、1000円以上買うと卵が安くなったり景品がもらえたりという企画がたびたび行なわれるため、わりと重用している。自分で行けないときはファルマンに頼むのだけど、重い腰を上げて行ってもらうだけでひと苦労なので、そのうえ1000円あまりの賢い買い物を頼むなんてことは不可能で、それにそのスーパーは、安いものはそれなりに安いが、そこまで値下げしてないものも結構ある感じのお店で、物の底値を知らないファルマンに選ばせるのはなかなかリスキーで、さらには以前「1000円ちょっとになるよう買い物したのに、レジを通したら2000円超えてた」なんてこともあったので、こちらとしてもすっかり信用をなくし、頼む際はもう、ひたすら1000円ちょいのパック酒を買ってもらうことにしている。その一択なら失敗しようがないし、腐らないので、確実に消費するものだから買い置きがあっても支障がない。じつにいい作戦である。
 しかしこの結果、この店においてファルマンは、たまに来店してはひたすらパック酒だけを買って帰る女(しかもたまに子連れ)となっていて、なかなかのキャラクターだな、と思う。見た目もなんとなく、さもありなん、という感じがあるし。