2021年4月5日月曜日

グラニフ・ハエ叩き・あってほしい

 グラニフが「ハッスルパンチ」とコラボしたTシャツを発売していて、戦慄する。
 そんなことってあるか、と思った。
 だって「ハッスルパンチ」なんて、別にぜんぜん盛り上がってない。ほとんど誰も知らないだろう。僕だって実際なにも知らないのだ。知らないけど、「アニメロゴ一覧」みたいなページで、このロゴいいなと思ったからTシャツにしただけなのだ。職場に着ていっても、誰からもなにも触れられなかった。そのくらい訴求力がないのだ。「ハッスルパンチ」には。それがまさか1年後、グラニフで正式なコラボアイテムとして販売されるとは。
 本当に意味が解らない。売れるはずがない。ロゴがかわいいからワンチャンあるとでも思ったのだろうか。だとしたら僕と気が合いすぎではないか。そもそもグラニフオリジナルキャラのビューティフルシャドーとヒットくんの近似性はどうなのか。
 謎が謎を呼ぶ。しかしさすがに「ハッスルパンチ」にはちょっと寒気がした。グラニフはそのうち「ウサントタッバ!」Tシャツも作りうるな。

 職場のおばさんが、職場に発生した蠅に、古式ゆかしいハエ叩きで立ち向かい、おばさんの振り上げたハエ叩きは見事に蠅を捉え、強打を受けた蠅はあえなく落下した。その一部始終を、僕はぼんやりと眺めていたのだけど、そのあとおばさんがとてもなめらかな仕種で、ハエ叩きの柄の端から、ピンセットのようになっている部分を取り出し、それで蠅の死体をつまんでゴミ箱に捨てる場面を目撃し、驚嘆した。
 そもそもこれまでの人生で、ハエ叩きというアイテムが、あまり身の周りにはなかったのだけど、もちろん存在は知っていて、それは60センチくらいの柄にラケットのような面がついていて、それで完結しているものだった。それ以上でもそれ以下でもなく、イメージがそれで定まっていた。
 そこへ、柄の端にピンセットが内蔵されているというギミックが突如として現れたので、大袈裟だけど、世界の見え方が変わったような気がした。世界って、僕が思うよりも奥が深いのかもしれない。気づいていないだけで、ハエ叩きの柄のような機能を持っているものはいっぱいあるし、あるいは現状持っていないが、ハエ叩きの柄のような機能を持たせうるものもいっぱいあるのではないかと思った。それくらいびっくりした。

 ファルマンがとうとう自動車教習所に通うという。
 いまさら、という気もするが、岡山以上に車がなければどうしようもない島根で、子どももこれから大きくなって行動範囲が広がり、さらには生々しい話だけど、親だっていつまでも運転できるわけではないので、たしかに免許は断然あったほうがいい。それはそうなのだ。それはそうなのだが、それなのに周囲の誰もそこまで積極的に「免許を取りなさいな」といい出さなかったのは、それはもうひとえにファルマンの気性、というよりも適性によるもので、通うことが決まった今でも、「俺が教習所へ行くのを強く止めなかったばっかりに……」となる未来を想像してしまい、恐怖を覚える。たぶん教習所でファルマンは、「だろう運転」ではなく「かもしれない」運転を心がけましょう、という講習を受けるのだろうが、わざわざいわれなくても、ファルマンの運転は筋金入りの「(事故る)かもしれない」運転だ。あるいは単なる疑いではなく、若干の確信さえも伴うという意味では、逆に「(事故る)だろう」運転である気もする。そしてどうか、アクリル板越しに面会とかするはめに陥らない程度の事故で「あってほしい」運転でもある。最後はとうとう祈りになった。
 もちろんオートマ限定なので、エンストとかはないのだが、それでもファルマンがこれからS字クランクやバック駐車などに奮闘するのかと思うと、とりあえずそのさまはエンターテインメントとしてとてもおもしろそうだな、と思う。労働が休みの日と実地の授業日が重なる日があれば、送迎を兼ねて見学したりしようかな。