2020年4月18日土曜日

間寛平・マスク・健康診断

 星野源と安倍首相のコラボ動画の件で、みんないろんな理由で憤っていたが、その中で間寛平のコメントがとてもよかった。間寛平はあの動画を見て「がっかりした」のだという。なぜか。「安倍さんは家ではマスクを作ってるかと思ってた……」間寛平はそういったのである。すばらしくないか。これはもちろんボケなのだけど、なんとキュートでおしゃれなボケだろう。星野源と仲間たちが謳歌していたが、安倍首相の登場で一瞬で蒸発してしまったおしゃれさが、巡り巡って間寛平に集約した形だと思う。吉本の大御所といえば、去年の吉本の闇営業とかの騒動(なんと平和な時代だろう)の際、リポーターの「いま吉本興業にいいたいことは?」と訊ねられた池乃めだかは、「背が高くなる薬を作ってほしい」と答えたそうで、それも当時とてもいいと思った。芸人が他のコメンテーターと一緒に眉をひそめ、同じようなことをいってもなんの価値もない。中世の王様の傍にいたピエロのように、奇矯なことをいうのが彼らの役割だろう。芸人かくあるべし、という姿を見た。

 相変わらず不織布のマスクは流通しないが、しかし不織布のそれは布のマスクよりも防御力が高いというのなら、医療現場や、小売店や、あるいは電車で通勤しなければならない人が優先的に手に入れて着ければよく、僕のような田舎でマイカー通勤して日々いつもと変わらない面子で働くような人間は、そんなものを必死に購おうとしなくてよいのだと思う。布マスクをたっぷり作った余裕もあり、そんなふうに思う。
 しかしドラッグストアなどには並ばないが、ある所にはあるようで、楽天でこれまでに利用して登録していた店(それもドラッグストア系ともぜんぜん違うような店)などから、「不織布マスク入荷しました!」なんてメールが届いたりする。そしてそれらの値段といえば、これまでよりも大袈裟じゃなく10倍くらい高い。今まで50枚入りで500円しなかったのが、3980円とかするのだ。そういうのを見ると、とても気分がクサクサする。メルカリなどでの転売屋を世間はあんなに批判したのに、悪質さの程度がちょっと違うだけで、やっていることはぜんぜん一緒じゃないか。そしてやっていることがぜんぜん一緒という意味では、戦後の闇市とも一緒だ。
 ところで今週末からいよいよ政府謹製の布マスクが配られはじめるらしい。マスク配布て、というそもそもの行為に対する批判や、配られるマスクが微妙に小さいこととか、とかく評判の悪いこの施策だが、しかし届いたマスクで遊んだりネタにしたりすることは絶対にしてはいけないと思う。どうも最近はTwitterやYouTubeで、倫理観のない輩がそういうことをしそうな気配がある。市販のマスクがどうしたって手に入らなくて、その布マスクを使わなければならない人も世の中にはたくさんいるのだ。そういう人たちが、そのマスクを着けにくくなるような揶揄だけはしてはいけないと思う。

 今年の健康診断の結果が返ってくる。
 これが、めっちゃよかった。
 なんてったって、なんてったって、去年までの僕とは別人である。今年に関しては、健康診断の直前だけめちゃくちゃ節制した、なんてことは特にないのだ。それなのにナチュラルにいい数字。つまりマジで健康な人になったのだ。
 別にこれまでも、全体的に惨憺たる有様だったというわけではない。僕の健康診断は、要するに肝機能の数値の診断ということになる。毎年それに引っ掛かって、「要精密検査」という紹介状在中の封筒を結果と併せて渡されていたのだ。それが今年はなかった。いつもネックとなるγ‐GTPの値が、17年159、18年134、19年106と来て、今年はとうとう59となった。59! 50までが正常値とされるので、そこからは若干オーバーしているが、ぜんぜん問題視されるようなオーバーじゃない。日々酒を飲んでこの数字なら万々歳だろう。
 この結果の要因は、別に厳密な取り決めをしたわけではないがそれなりに休肝日を設けたことと、あとはなんといっても運動だろう。なにしろそれまでまるでしてこなかった運動をするようになったので、僕の身体には伸び代しかなかった。逆にいえば、これまでは伸び代をまるで広げることなく畳んでいたということだ。じゃあもう別人だ。広げてみたら、それは伸び代どころではなく、プリーツみたいになっていたんだ。僕は本当はこんなに健勝で壮健な人間だったんだ。もう東京時代の人間と会っても、誰も僕のことに気づかないかもしれない。寂しいよ……。