2019年12月15日日曜日

プール・ナビ・ショーツ

 一家でプールへ行く。12月である。冬のレジャーの選択肢にプールが入るってすごいと思う。1年前では考えられなかった。もちろん空いていた。空いていたが、12月にプールに来ている人たちというのは、スイミングにちゃんと向き合っている人たちというか、「12月だけどプールに来ている人たち」なわけで、なかなかストイックな雰囲気があった。子連れは我々だけだった。とは言えフリースペースは設置されているのだから、物怖じせず使用した。ポルガは前回からさらに、まあまあ泳げるようになった。ピイガは相変わらず、プール中に響くような大声でしゃべりながら遊んでいた。プールって水が振動を吸収するので声が通らず、僕の話し声はファルマンに「えっ?」と3回聞き返されたりするのだが、ピイガの声はなんであんなに響くのだろうか。ちなみにプールはもちろん温水ながら、それでもやっぱりなかなかに寒く(なんといっても更衣室からプールへの通路が寒い)、泳ぎ終えて着替えたあとも、なるべくしっかりと髪を乾かしたのだが、どうしたって寒かった。やはり微妙に無理があるかな、冬プール。ストイックに運動して体が温まるならまだしも。早く暖かくなってほしい。屋外プールが恋しい。

 島根時代に買った後付のカーナビが、データの更新のできないやつで、表示と実態が食い違う場面が散見されるようになり、そもそももう7年近く使っているので、機械として寿命が近づいてきていて、「新しいのを買わなければいけないかねえ」と話していた。もうかれこれ2年くらい、話していた。そんな折、グーグルのナビ機能が便利らしいという話をファルマンが聞きつけ、初めて行く場所に行くとき、使ってみた。そうしたら本当に便利だった。自車の位置とか、こっちのルートなら何分早いとか、渋滞情報とか、こまごまと世話してくれる。こんなのもうカーナビ買う必要まったくないじゃん、となった(業界が心配になる)。
 しかし渋滞情報まで出るってどういう仕組みだろうと考え、そんな誰もがグーグルのナビを起動させて走っているわけでもあるまい、と思ったのだが、別にナビを起動させなくても、端末の位置情報がオンになっていれば、それの乗った車がスムーズに移動できているか、あるいは滞っているかは、秒単位で情報が集約されるわけだ、と気づいた。すごい世の中だ。とんでもない世の中だ。
 そのことに生理的な恐怖を感じつつも、微妙な心境の変化も起った。これまで僕は、タブレットの位置情報は基本的にオフにして使っていたのだけど、自分が必要なときだけグーグルのナビを利用する一方で、そうでないときには情報の提供を拒絶することは、自分勝手な行為なのではないかと思うようになった。美徳というのだろうか。自治会の持ち回りの掃除当番のような、本気で拒めば免除されなくもないが代わりに大事なものを失う、というような、そんな心の作用がここには存在していると思った。つまり発展した情報化社会は、すなわちグローバルな自治会化ということなのかもしれない。だとしたらずいぶん息の詰まる社会だな。まあ実際そうだけど。

 女の子のショーツの、脇の部分が細いのが好みだ。
 考えてみたら不思議な話だ。女性器とか、尻とか、女の子の股間にはいろいろと見たい部分があって、その中で脇の部分はどんなに細くても、それで見えて嬉しいものというのは特にないのだ。なのに脇の部分は絶対的に細いほうがいい。前にエロ小説の作家がインタビューで、セックスは結局のところ、男性器が女性器に入るだけのことだから、そう変わり映えするものではない、だから差異をつけるためには、どういう男の男性器が、どういう女の女性器に入るか、という部分に凝らなければならない、といっていたが、フロントやバックではなく、脇の部分にこだわりたいというのは、つまりそういうことなのかもしれない。ショーツの神髄は脇。これはショーツ界で20年くらい修行して到達できる境地といわれている(可能性がなくもない)。
 ショーツの脇の細さといえば、思い浮かぶのはビーチバレーのことだ。浅尾美和のおかげで一時期みんな注目したビーチバレー。女子ビーチバレーにはかつて、ユニフォームのビキニのショーツの脇の幅は7センチ以下でなければならない、という規則があったという。「規則」という、ちょっと嫌なイメージのある言葉で、これ以上に幸福な内容を僕はほかに知らない。規則でエロが定められているのだ。エロくないとルール違反なのだ。夢物語だ。あるいは宇佐木学園だ。残念ながら現在はさまざまな事情により撤廃されてしまったらしいが(それはそうだろ、とも思う)、しかしこんな素敵な言い伝えが残っている。「ビーチバレーは、強い選手ほど水着が小さい」。どこか「実るほど頭を垂れる稲穂かな」に通じる、徳を諭すような雰囲気さえ漂う。ビーチバレー協会、あるいは業界の、執念を感じる。とにかく、とにかく女の子に、ほぼ裸同然の姿で、動き回ってほしいのだ。これにより、なかなか成績の出ない選手には、「ちょっと水着が大きいんじゃないか」という指導をすることが可能となる。でも実際、水着が小さければ小さいほど、スポンサーがつきやすくなり、強くなれるのではないかとも思う。もしも僕がスポンサーの立場であれば、細い細いショーツの脇に、小さく小さく企業名を入れたい。小さければ小さいほどいい。宣伝効果はばっちりだと思う。