2023年6月13日火曜日

マジック・灯油・パンツ!

 ファルマンがこのたび、googleのストレージの容量を増やす契約を結んだのだが、そうしたら特典で、あの「消しゴムマジックで消してやるのさ」でおなじみの消しゴムマジックが使えるようになったという。ちなみにファルマンはあのCMのフワちゃんのモノマネを前からめっちゃしていて、最近はもうハリウッドザコシショウばりに、誇張し過ぎて原型をとどめていないほどなのだが、そんなファルマンにとうとう本物の消しゴムマジックが与えられたのである。ということで喜び勇んで、「消しゴムマジックで消してやるのさ」をしようと思ったのだが、子どもたちを撮った写真の、背景に入り込んだ他人を消してみようとアルバムを探したところ、「……ない!」となった。背景に他人が入り込んだ写真が、アルバムにぜんぜんなかったのだった。消しゴムマジックを使うまでもなく、行政マジックによって、人口は十分に消失していたのだった。しゅんとなった。

 灯油が余っていた。灯油余り問題は、この2ヶ月弱、われわれ夫婦を悩ませていた。
『給油はガソリンと同時に、灯油も入れた。灯油缶は家にふたつあって、いま1缶は空になり、もう一方も残りが半分くらいという状態であり、かなり悩んだ。もしかしてもうこの半分ほどの残りで乗り切れるんじゃないのか、ここで1缶分の補充をしたら持て余すことになるんじゃないのか、と。しかしファルマンと協議した結果、まあ朝晩は寒いし買っておくか、という結論に至った。買ってしまえばやはり心強い。もしこのままどんどん暖かくなり、持て余したとしても、この時点での安心を買ったのだと思えば損はないと思った。』
 「おこめとおふろ」にこの記述がなされたのが、3月5日のこと。それ以降さすがに買い足すことはしていないはずなので、このときのものがずっと残っていた。今年はやけに見誤った。言い訳するならば、春先、住んでいるコーポの外壁塗装工事があり、エアコンが使用不可だったというのも、灯油との関係が断ち切れなかった原因のひとつだと思う。
 5月になっても余っていた灯油を使い切るべく、少し肌寒い朝などに積極的にストーブを稼働させたりしたが、どうもストーブとしてももはや気合が入らないらしく、冬場はあれほどすぐに給油を呼び掛けてきたくせに、ほぼ燃焼していないようで、いつまでもタンクは空にならないのだった。
 そしてとうとう6月に突入し、ストーブの横に扇風機が並ぶという、珍奇な風景がリビングに展開された。これはもういよいよダメだろうと、使用するのは諦め、どうにか処分するしかないだろうと観念し、検索したところ、とあるガソリンスタンドで回収してくれるという情報を見つけ、電話で確認した結果オッケーとのことだったので、持っていった。そうしたら、ピットの奥に巨大なオイルポットのようなものがあり、そこに注ぐというシステムだった。ガソリンスタンドでは、なんかしらの作業に使用できるのだろうか。それならいい。わが家で3ヶ月以上くすぶった灯油も浮かばれるというものだ。
 長らく懸案事項だった灯油が片付き、部屋も心もとてもすっきりした。来年はこんなことにならないよう立ち回りたいが、まあ余らしてもこの手段があるのだな、という経験則を得た。

 とにかく明るい安村がイギリスのオーディション番組で大ブレイクしたというニュースに触れ、とても喜ばしい気持ちになった。
 しかしこの番組の映像を見てひとつ思ったこととして、安村がポーズを取ったあと、「安心してください、穿いてますよ」の英語ver.として、「Don’t worry, I’m wearing」と言うと、向こうの審査員の女が言い出したらしい、「パンツ!」というコールをする、という流れがあるのだけど、向こうの人って、安村が穿いている、いわゆる下着としてのあれを、なんだ、パンツって言うんじゃんか。
 なんかほら、向こうの人が言うパンツって、われわれがズボンと呼んでいるものを指すのだとか、たぶん四半世紀前くらいから急に言われ出して、ズボンという表現はダサく、死語であり、これはパンツ(イントネーションは尻上がり)であるという、なんかそういう風潮があっただろう。でもなかなか定着せず、「パンツ」で商品検索すると、ズボンと下着、両方同じくらい出てくるという、にっちもさっちもいかない状況が、日本ではずっと続いていたじゃないか。
 でもこのたび結論が出た。下着がパンツでいいのだ。だから、パンツはやっぱり下着なので、ズボンはズボンと呼べばいいのだ。向こうの人たちがなんと呼んでいるのかは分からない。ズボンでないことは確かだ。ズボンは、脚をズボンと入れるからズボンなのである。なんと愛らしい語源であろう。堂々と使っていきたい。