2018年11月7日水曜日

野沢・ワイヤレス・流行語

 職場のおじさんが、青い物品について僕に訊ねるときに、「プロぺ君、あれどうしたかな、あのあええやつ」と言ってくる。最初なにを言ってるのか意味が取れなかった。ちょっと考えて、「あええやつ」が「青いやつ」だと理解する。よく理解できたものだと思う。もうこんなのあれじゃん。野沢語じゃん。「べえおはざーどふぇーぶ」じゃん。5年経ってもいまだにこういうことがある。田舎は奥が深い。そして闇が深い。

 秋になり、またバトンを熱心に回し始めた。昼休み、駐車場の隅でひたすら回している。Bluetoothのイヤホンは、本当に買ってよかった。ほら私、バトン回す人じゃないですか。そのとき、タブレットを持ってたり、そこからコードが伸びてたりすると、すごく邪魔なんですよね。その点、ワイヤレスのこれだとノンストレスで練習できるから、とても重宝してます。おすすめです。そんなわけで自由に動き回れるので、それなりに動きながら回している。踊っているわけではないが、歩いたりステップを踏んだりしている。もう友達ができなさ過ぎて、職場で人にどう思われるかとか、まるで気にならなくなった。

 流行語大賞の候補語が発表される。僕がcozy ripple流行語大賞のため、この1年の自分の日記を読み返すという作業をしている乍中に、向こうが候補語を明かしてくる感じ、本当に毎年恒例だ。こうなってくると、いよいよ1年が締まろうとしているのだな、と感じる。
 そんなわけで30語である。
 「そだねー」は、たしかに流行った。流行って、そしてとても苛々した。そもそも僕は、当時の日記にもしっかりと書いているが、カーリングという競技に対して好意を持っていないのだ。そこから発信された「そだねー」は、職場の高齢者たちがよく使い、あの使ったときのドヤ感も含めて、僕を仏頂面にさせた。高齢者が「そだねー」と言うと誰もが微笑んでやると思ったら大間違いだぞ、という警鐘を込めて、どこまでも誘い笑いに乗らなかった。子どもをふたり持ち、30代半ばになっても、そこらへんの気概はまだ失っていない。カーリングからはさらに「もぐもぐタイム」も選出された。30語のうち2語カーリングて。平昌はそこまでカーリングだったろうか。もちろんそんなことはない。スピードスケートやフィギュアもあったではないか。しかしそれらはカーリングに較べてマジなので、雑談とかおやつとか、そんな要素はなかった。これはそういう話だ。
 その点、「(大迫)半端ないって」は本当によかった。流行語とはこうあるべきだな、という流行の仕方だったと思う。やっぱりオリンピックやワールドカップなど、大きな大会ではひとつくらい、これぞというフレーズが欲しいものだ。だからこれは本当によかった。元ネタはもうずっと前なんだけどね、みたいな話はどうでもいい。世間で流行ったのは今年だ。
 スポーツつながりで、毎年必ず入れなければならない野球関連語は、今年は「翔タイム」が選出された。解るような気もするし、苦しいような気もする。ここ10日ほど、「甲斐キャノン」という言葉をとても多く耳にしたのだけど、さすがに間に合わなかったか。「甲斐キャノン」って、なんか語感が愉快で、口にしたい感じがある。「かいきゃのん」とひらがなで書いても素敵である。もう1ヶ月あれば選出されていたかもしれないのに、と悔やまれる。
 あとこれはスポーツつながりなのかどうなのか微妙だが、「悪質タックル」も選ばれた。流行語大賞が、本当になんの軋轢もなく、国民が1年間で多く口に出した言葉に授与されるのだとすれば、大賞は間違いなくこれだと思う。それくらい、みんな悪質なタックルの話が好きで、たくさんしたと思う。ここから始まった日大の一連の報道は、どれも本当におもしろかった。今年はもう特別賞を日本大学に与えてもいいと思う(ちなみにcozy ripple流行語大賞でも日大関連語が2年連続で大賞を受賞しており、今年に関しても有力視されている)。
 エントリーに漏れたところでは、「平成最後の……」って今年はみんな阿呆みたいに言っていたので、それは入っていてもよかったんじゃないかと思う。あとはなんと言ってもアレだろう、というのがあるが、それは今年のパピロウヌーボで扱う予定なので、ここでは言わない。
 大賞の発表は12月初頭。cozy ripple流行語大賞は11月23日。どちらも乞うご期待。