2025年4月19日土曜日

お天道様・あんぱん・ひょん

 生成AIで作ったエロ画像をポスターにしてフリマサイトなどで販売していた人たちが逮捕されたのだった。何人か捕まったのだが、そのうちのひとりは、1年間で1000万円ほどの売り上げだったとのことで、少しびっくりした。
 しかし不思議だったのは、逮捕と言うけれど、いったいなんの罪なのだろうか、ということだ。画像そのものは生成AIを使って販売者本人が作ったものに違いないようで、だとすれば著作権関係ではない(生成AIに学習させている元の写真なり絵なりの話になってくると、きっとややこしい、一筋縄ではいかない話になってくるのだろうけど)。
 罪状として個人的な感覚から思い浮かんだのは、「お前それでそんな金儲けするなんてのは、どう考えても人道から外れてるだろ罪」で、パターンから作っているオリジナルのスイムウェアを材料費・工賃・送料込みで1500円などで売っている身からすると、生成AIで作った画像を印刷してポスターにしたものを販売して年間1000万円というのは、どう考えてもその罪に抵触してくる。「お天道様は見てんだよ罪」だ。
 本当にそういうことかと思い、気になったので検索してみたら、もちろんそんなはずはなく、「わいせつ物頒布等の罪」だそうで、どうも購入者の元に届くポスターは、局部にボカシが入っていない無修正のものだったようで(販売ページではもちろん入っていたようだ)、それで引っ掛かったらしい。そうなのか。現代でも局部にボカシって、やっぱり入れなきゃいけないのか。入れたからなんだってんだ、という気もするのだけど。
 あと生成AI画像で1000万というインパクトで、思わず頭に血が上ってしまったけれど、1枚どう考えても1000円以下だろうそれで1000万円の売り上げを作ろうとしたら、それはそれで結構な労力なのではないかという気がしてきて、世の中にはもっと人道から外れた金儲けをしている輩がいくらでもいるよな、と反省した。動画配信の人とか、デイトレーダーとか、プロ野球選手とか。

 母から久々にクール宅急便が届き、中にあんぱんがたくさん入っていた。
 もしかしたら世間的にもそうなのではないかと思うが、4月に入ってから、わが家のあんぱんの購入量はにわかに増加しており、ここへ来て届けられた手製のあんぱんに、普段の5割増くらいで喜んだ。その旨を母に礼がてら伝えたところ、「たしかに最近、人にあんぱんをあげるととても喜ばれる。朝ドラは強いね」というメッセージが返ってきて、そうか、うちの母は、人にあんぱんを配っているのか、となんとなく感慨深い気持ちになった。
 それにしても、わが家に届いたあんぱんは20個ほどで、人にも配っているのだとすれば、母はいったいどれほどの数を焼いているのだろう。たぶんすごく焼いている。家のオーブンレンジで、いちどにいくつ焼けるのか。9個くらいのものではないか。傍目から見たら、えっなんでそんなに作んの、業者なの、と思うほど焼いている。でもその感じが、血筋なので手に取るように分かる。届いたあんぱんを見て、ピイガはすぐに粘土細工でミニチュアのあんぱんを作り、そこからシリーズとしてさまざまな種類のパンも作りはじめた。たぶん、そんなに作ってどうするの、という量をこれから作るのだろうと思う。

 ファルマンがいま観ている韓流ドラマは、主人公の女の子ひとりに、複数のイケメンが懸想し、それぞれの恋愛の発展や、つばぜり合い、そして男同士の友情なんかもあって……、という、これまで人類がひとりも思いつかなかったようなとても斬新なストーリーだそうで、とてもおもしろいらしい。
 しかしその主人公の女の子というのは、(もちろんドラマのヒロインなのだから美形なのだが)昔からずっとモテ続けてきたわけではなく、むしろ恋愛には奥手だったりするのだが、そんな主人公がどうして急に複数のイケメンから懸想される今の状況になったかと言えば、それはファルマン曰く、「ひょんなことから」だそうだ。
 知っていた。それまで別にモテてなかった主人公が、急に周囲の異性から一斉にアプローチを受けることになるきっかけ、それはいつだって「ひょんなことから」なのだ。そういう、二次元のドリーム的な物語を、僕は腐るほど読んできた。世の中にはさまざまな「ひょん」があって、そして「ひょん」の数だけ夢がある。だからあの文庫レーベルは、二次元ひょん文庫と言い換えてもいい。
 妻もようやく「ひょん物」の良さに気付いたか。ようこそ。