「おこめとおふろ」に書いたが、この2週前に実家の車とわが家の2台も一斉交換の予定だったのが、僕の車のノーマルタイヤのうち2つは必ず新調しなければいけないという判定をされ、その入荷を待っての再交換となったのだった。
それで今週が始まり、既に木曜日なのだけど、先ほどはたと気づいたことには、僕は新しくしてもらったタイヤを、いちども見ていない。数万円を支払ったというのに、こんなに買ったものを見ないことがあるかよ、というくらいぜんぜん見ていないのだった。
さすがに良くない気がする。田舎育ちじゃないから車にぜんぜん執着ない人なんですアピールはもういらない。安全意識的な意味で、僕はもう少し関心を持つべきではないかと思った。これでは替えてもらったタイヤが、ゴムではなくタピオカでできていても気付かない(だとすればよく今日までもったものだ)。
明日の朝、車に乗る前にちゃんと見ようと思う。ただし新しくしてもらったタイヤ2本が、4本のうちのどれなのかが実はよく分かっていない。たぶん左右ではなく、前後だろうとは思う。果たして前輪なのか、後輪なのか。本当に意識が低いな。
前に書いたか覚えていないが、岩塚製菓から出ている「味しらべ」というせんべいが、たまらなく好きだ。鈴カステラと双璧を成して、長く食べ続けている。パウダーまぶされてる系せんべいでは、「ハッピーターン」のほうが世間に浸透している感があるけれど、僕は断然「味しらべ」派だ。人にあげるときは「世界一おいしいおせんべいあげるよ」と言って渡すようにしている。そのくらい好き。そのくらいおいしい。
そのためほぼ切らすことなく家に常備しているのだけど、そうなると他にお菓子がなくなったとき、ファルマンが食べるのである。現場を目にしたことはないが、ファルマンはお菓子を食べたあとの包装を捨てないので、喰ったことがすぐに判るのだ。
別に食べるのはいい。俺の個人的なものだ、などと心の狭いことを言うつもりはない。食べるのはいいのだが、「味しらべ」を食べるときは、そのおいしさに必ず感動してほしいと思う。その感動を味わうために自分は「味しらべ」というお菓子を口に入れるのだという、確固たる自覚を持って食してほしい。ただ口さみしさとか小腹満たしのためだけに「味しらべ」を使わないでほしい。「味しらべ」でなくちゃダメ、というスタンスでなければ「味しらべ」を食べないでほしい。
重ねて言うが、「喰うな」などと心の狭いことを言うつもりはないのだ。
義父が仕事を辞めたのだった。
長年勤めていた会社を65歳で定年退職し、そのあとで数年間勤めていた所を、今回辞めた次第である。そしてこの次というのは特に定まっておらず、義父は勤めというものから、いよいよ解脱する気配もある。わりと大きな会社に40年あまり勤めていたわけで、蓄えとか年金とかのことを思えば、家計的にはなんら問題ないのだろうと思う。
問題があるとすれば、義父は仕事がないと、家でひたすらテレビのスポーツ中継を観続ける人であるという点で、ファルマンをはじめとする娘一同は、大いにここを心配しているのだった。すなわち、お父さんたちまちボケるんじゃないか、と。
不都合なことに、大谷翔平の試合が、午前中、毎日のように放送されている。あれを眺めていたら半日があっという間に過ぎ去りそうだ。ファルマンは言った。
「大谷がホームランを打つたびに、父親のシナプスが破壊されている気がする」
頭の中に、大谷が義父の脳内でバットを振り、義父のシナプスを粉砕している画が浮かんだ。あながちぶっ飛んだ空想でもないかもしれない。事実上、それに近い。
大谷は今シーズン、何本のホームランを打つだろう。