2023年5月11日木曜日

昼顔・脱出・進路

 GWを利用してレンタルDVDで一気に観た「昼顔」の、映画版はamazonプライムにあったので、こちらも観た。すなわち、全てを観終えたのだった。映画版の結末は、実は観る前から知っていた。まだ僕が観る決意をしていなかった段階で、ファルマンが喋ったからだ。だいぶショッキングな内容なので、先に聞いていてよかったような気もするし、面白味として当然よくなかったような気もするし、どちらなのか判断がつかない。
 映画版は夏の海が舞台なのにトーンが暗く、つらかった。ドラマ版の吉瀬美智子と高畑淳子が恋しかった。あのふたりが物語を、背徳的なだけではない、エンターテインメントにしてくれていたのだな、と気付いた。
 全体を通しての感想としては、不倫はよくないと思った。小学生のような無邪気な感想。でもそれに尽きる。ノリコが怖い、ということをファルマンに向かって言ったら、「あれはあたいだよ。あたいもああなるから覚悟しなよ」とたしなめられたのだけど、ファルマンがハマり、DVDを借りに行かされ、「お前も観ろ」と言うから観た結果、なぜ僕がたしなめられなければならないのだろうかと思った。あまりに不条理ではないか。さらに言えば、この僕は、父が不倫して外に子どもを作って崩壊した家の子どもである。不倫のつらさ、周囲に与える迷惑は、ちゃんと知っております。小2の頃から、知って、いるんですよ……。

 宇宙関係が立て続けに失敗していた。H3が打ち上げを失敗し、イーロン・マスクのロケットも大爆発し、民間企業の宇宙船の月面着陸が失敗していた。
 それらのニュースを見ていて、「ああ失敗したんだ、難しいんだなー」と、どこか他人事で受け止めていたのだけど、それは当面のところ、地球がどうにかなってしまう予定がないからで、地球が例えば5年後や10年後に住めなくなってしまうとしたら、これらのニュースの絶望感って半端ないだろうな、と思った。つまり、「発射」というから危機感が湧かない。これを「脱出」にしたら、世間の宇宙開発への関心も一気に高まる気がする。
 あとこれを口にすると途端にトンデモ論者っぽく見られてしまうリスクがあるけれど、それでもなお言いたい、言わずにおれないこととして、アポロ11号は月に行っていないと思う。行って、さらには帰ってきたという。50年以上前に。いやいやいやいや。

 ポルガが中学生になり、部活にも入り、1年生なのでまだ本格的な体制にはなっていないのだけど、それでも部の予定表など見ると、土曜だったり、あまつさえ日曜日なんかも活動日になっていたりして、衝撃を受ける。衝撃を受けるが、考えてみたら自分も中学生の頃、バスケ部で、週末に練習試合とか大会とかに行っていた(ほとんど出場しなかったくせに)。中学生になって部活に入るとはそういうことだ、とは思いつつも、これまでの、週末は基本的に家族で、気候が良ければ公園に行ってお弁当を食べる、みたいな日々は、もうこれで終わってしまったのだと思うと、とても寂しい気持ちになる。たぶん、わが家は、やけにそういうことをするほうの家族だった。両親に、外の人間関係が皆無なので、余計にそうだったのだろうと思う。
 そして中学生になったということは、じきに進路などという話題も出てくるということだ。悲しい。もはや寂しいを通り越して、僕はそれがとても悲しい。わが子が、進路とか、そういうことに向かい合う。なんだそれ、と思う。いつまでも無垢で幼いままでいればいいものを。宮崎駿の心の叫びが、ひどく胸に沁みる。
 それは「ポニョ」のセリフだが、そうだ、僕はいま「魔女の宅急便」を観るべきかもしれない。たぶんすごく泣くと思う。想像しただけで泣けてくる。