2019年1月11日金曜日

ぬるま湯・冷蔵庫・穴埋編

 年末年始のぬるま湯で精神が相当に緩んでいたようで、新年1週目はやけにつらかった。へ、平日とは、このようなものであったか……! と衝撃を受けた。これまで数年間続けてきた感覚を9日程度で忘れるものかね、と思うかもしれないが、僕はわりと忘れるのである。感覚だけでなく、仕事内容も実際けっこう忘れていた。でも呆れないでほしい。会社までの道を覚えていて無事に出勤できたことを褒めてほしい。ぬるま湯に浸り続けていたい。生きているだけで称賛してほしい。

 新春セールで冷蔵庫を購入した。
 これまでの冷蔵庫は、結婚の前後くらいに買ったもので、だからもう10年くらい使っていて、冷えなくなったわけではないのだけど、水が漏れ出るようになっていて、寒い時期はまだ少なめなのだけど、やはり夏場は冷蔵庫的にも無理がたたるのか、床に敷いた新聞紙を毎日のように換えなければならないほどで、いい加減うんざりしていた。この分ではいつ本格的な故障が起ってもおかしくなく、そしてそれは無理がたたる夏場の可能性が高く、そうなったときの悲劇たるや、想像するだにおぞましいものがある(しかもきっと冷凍食品や肉を買い溜めした日とかに限って壊れるのだ)。そのため1年半くらい前からずっと冷蔵庫購入の臨戦態勢を取っていて、条件さえ整えばいつでも買うつもりがあった。そしてそのタイミングが、今般の新春セールでとうとう訪れたのである。amazon。だいぶ安かった。壊れかけとは言え、完全には壊れていない冷蔵庫を買い替えるのである。相当なお買い得感がなければクリックしない。今回はそれがあった。ゆるぎない「買い」だった。かくして冷蔵庫は、数日後に搬入と搬出の予定となっている。
 そしてその「注文を確定する」ボタンをクリックすると同時に、うっすらと予想されていた事態ではあるのだけど、もはやそれは「注文を確定する」ボタンではなくて、「古い冷蔵庫の不調を直す」ボタンだったのではないかと思われるほどに、ピタッと水漏れが止まる。水漏れなど、夏場も含めていちども犯したことなどなかったような顔だ。長く家にあり、住人の会話をずっと聞いていた電化製品の、こういうところ。

 物語なり、音楽なり、なんかしらのものを作り上げて、しかしいいタイトルが浮かばないとする。そんなときはタイトルを「火の鳥」にすればいいんだと思う。物語の場合、作中に火の鳥はもちろん、あらゆる鳥も登場しないパターンもあるだろう。そんなときだって堂々と「火の鳥」にしてしまえばいい。そしたらなんかほら、その物語を通しての登場人物の精神の昇華みたいな、なんかそんな風な部分のことを、読者が勝手に想像して、「ああ火の鳥な」と感じてくれるに違いない。「火の鳥」にはそんな効果がある。