2018年9月16日日曜日

におい・リス・能

 アマゾンのレビュー欄で、すぐににおいのことを言う輩というのがいる。おもちゃから文房具、アクセサリーから電化製品からまで、そんなもののにおいなんてわざわざ嗅ぐ? と思うものまで、とにかくにおいのことを言及する。そりゃあ他所から来たものなのだから、箱から出したらそれなりに異質なにおいがするだろうよ、と思って、気にせずその商品を発注すると、別ににおいなんてぜんぜんしなくて、あいつらの嗅覚どうなっとんねん、となったりする。
 そういうことが、アマゾンで物を買うようになって数年、ずっと続いていた。そんな折に買った、先日の電動歯ブラシである。1分で35000回の振動を謳い、レビューのコメントも上々で、喜び勇んで購入した。これが、まあまあにおう。専用のケースに入れてあるわけだけど、開けるたびにわりと化学的なにおいがする。なぜだ、と思う。だってレビュー、これに関しては、においについて誰もなんの言及もしてなかったじゃないか。なぜだ。なぜ口に入れて使うものに限って、お前たちは誰もにおいのことを言わない。スニーカーのにおいなんてどうでもいいのだ。どうした、お前らの鼻はくるぶしにでもついているのか。

 娘たちのショーツをユニクロで買ったのだけど、3枚組で、そのうちの1枚がリスの柄だった。
 女の子のショーツにリスをプリントするなんてウィットに富んでるなあ、と思い、ファルマンに店内でそう言ったら睨まれた。僕が悪いのだろうか。女の子が栗柄のハンカチを持ってたとか、財布がリス柄だとか、それくらいのことで反応してるわけではない。ショーツなのだ。ショーツがリス柄なのだ。反応したって致し方ないくらいに近いじゃないかよ、と思う。

 夏に僕が下の義妹とLINEを交換したとき、それは僕にとっての14人目で、義妹にとっての314人目だった、という話があるが、このエピソードがファルマン(細かい数字のことなど気にしない大人物)の中でざっくりと記憶されたようで、「妹のLINEの友達の数は300人」という認識になっていた。それはいちばんダメな数字の捉え方。僕と妹のLINEの友達の数の差が300人だったわけで、たしかに、たしかに314人ともなると、人から「LINEの友達は何人?」と訊ねられたときに、「300人くらい」と答えても不自然ではないけれど、でもそれじゃあ314人の人にとって端数でしかない人数しか総計でLINEの友達がいない僕は、もう存在そのものが誤差の範囲みたいなことになるじゃないか。なんだそれは。僕は幽玄の存在か。能でも舞えというのか。あ、LINEのプロフィール画像を能面にしようかな……。そうしたら友達増えるかな……。