それにしても大賞のラグビーがそんなだったし、渋野日向子も現れず、「令和」で菅官房長官が来ることもなく、今年は芸人のギャグはノミネートがそもそもなく、「闇営業」で受賞をしたのは宮迫でも入江でもなくFRIDAYの編集長で、選考委員特別賞というけったいな扱いとなったイチローも来るはずがなく、登壇した面々の中でかろうじていちばん喋れそうなのが練馬のスーパーの社長というのは、なかなかどうしようもない受賞式だと思った。来年は芸人のギャグが流行るといいよね。できればコウテイの「ズィーヤ!」がいいな。
車に自動ブレーキ機能を付けるのが義務化されるらしい。新しく買う車はもちろんのこと、既存の車にも後付けすることになるらしい。詳しくは知らないけど。
そのニュースを知って思ったのは、「それまでの時代」と「これからの時代」のことだ。これからの時代、日本で販売されるすべての車に自動ブレーキ機能が付くのだとしたら、わりとすぐに、車はいざというときには自動でブレーキが掛かるもの、という認識になることだろう。そしてそれが普通になった世界で、人々はそれまでの時代の無茶苦茶さに驚愕する。「なんと、かつて車には自動ブレーキ機能がなかったんです!」「ええーー!?」という会話が繰り広げられる。そのため老人の運転する車が事故を起しまくり、ずいぶんな数の人が命を落としたというエピソードを聞いて、「む、昔のやること……」となる。我々はそんな風に、麻酔せずに外科手術が行なわれていた、みたいな時代と、同列に扱われる時代に、これまで生きていたのだ。前に読んだエッセイで、「飛行機に乗客全員分のパラシュートを搭載していないのが信じられない。きっと未来人はそれを知って大いに笑うはずだ」という文があった。これはそれだ。
ピイガがポルガに、
「脳ってなに?」
と訊ね(その質問もどういうことだ、という話だが)、それに対してポルガは、
「全てであり、無である」
と答えたらしい。
台所に立つファルマンが、そのやりとりを目撃したのだった。
うちの子はいったいなんの生まれ変わりなのだろうか。