2023年12月19日火曜日

飲み物・ごん・重布

 職場で、立場が上の人から飲み物をもらうときってあるだろう。差し入れというか、自分の買う分のついでというか、なんかそんな感じで。
 先日もそういう場面があったのだけど、くれたのがペットボトルのホットのカフェオレで、見るからにだだ甘そうだったので、その場では「ありがとうございます」と礼だけ言って、あとで別の同僚にそのまま渡した。渡してから思い出したが、この同僚には前にも、同じようにして手に入れたコーラを渡したことがあった。もしかするとこの同僚の中で、僕はとても神経質な、意識の高い、添加物とかそういうものを忌避する、ちょっと厄介な人間のように思われているかもしれない。ただ甘い飲み物が嫌いというだけなのに。
 少し前に、うちの子どもはほぼ麦茶と牛乳でしか水分を摂ってない、と気付いて驚いたことがあったが、実は僕も世間一般に較べると、そこまで多彩というわけではなさそうだ。
 そう言えば飲み物をおごってくれる人と、自販機の前で出くわした際、欲しいものを選ばせてくれるパターンというのが前にあった。そのとき僕は、少し悩んだ末に、ミネラルウォーターを所望したのだった。一日に必要な分の水分は、家から持ってきた水筒の麦茶で足るので、いざというときのための備蓄として、ミネラルウォーターならば鞄の中に忍ばせておくのもいい、と考えたのである。「えっ」とその人は少し驚きの声を発した。意味が分からなかったのだろう。たしかに意味が分からない。合理的に考えてその選択をしたわけだが、たぶんあの場面はそういうことではなかった。

 ピイガの学校のテストの答案を見る。いい点数だったので、褒められようと思い見せつけてきたらしい。なるほど概ねいい点数だった。
 国語は往年の「ごんぎつね」であった。教科書の内容は時代で当然いろいろ変化しているが、たまにこうして不動のものがあるのも愉しい。ぼんやりした子どもだったので、当時の自分が「ごんぎつね」に触れてどういうことを思ったのかはまったく覚えていないけれど。
 ラストシーンからの出題で、ごんを鉄砲で撃ったあと、栗などを届けてくれていたのがごんであったことに気付いた兵十は、どんな気持ちだったか書きなさい、というのがあった。定番中の定番とも言える問題。要するにあの名フレーズ、「ごん、お前だったのか」が、どのようなテンションで唱えられたか、という問いかけである。
 ピイガの回答はこうだった。
「マジか。」
 そして〇だった。〇なんだ。マジか。

 年末年始の休みで縫い物をしたりしたいよね、それにあたって布がないから買わないとね、ということでネットで吟味の末に布を買ったのだが、届いた荷物を受け取ると、その重たさに驚愕した。間違えて鉄アレイでも買ったんか、というくらいに重かった。開けてみると、重たいのは複数買った布のうちの1点で、安いわりにそれなりの厚みがありそうで、柄も悪くないから掘り出し物かもな、と思って、ずいぶんな長さ、白状すると7メートル分も注文したものであった。それが人生で接した布史上いちばん重い布と言ってもいいくらい重たいものだったので、総重量としてとんでもないことになったのだった。
 7メートルというのは、コートでも作ろうかと思っての長さだったのだが、この布でコートを作ったら、もはやちょっとドラゴンボールの世界観であろう。でもそれじゃあ、コートで大量消費することを目論んで買った7メートルの布を、いったいどう処理すればいいのだろうか。目下、なにも案が浮かばない。ファルマンの目線も痛く、非常に困っている。