ファルマンに髪を切ってもらう。月曜日の夜に。それなら週末に切ってもらえよという話なのだが、週末はまだ散髪の意欲が高まっていなかった。ポルガが、卒業式に向けて、人生初の美容院でのカットを行なったのが日曜日のことで、ファルマンは「ポルガも切ったし、残りはパパだけだね!」と執拗に言ってきたのだが、その時点では「まだ切んねーし!」と拒んでいた(前にも言ったが、北風と太陽効果もあったかもしれない)。しかし週が明けて出勤したところで、「切る! 絶対切る! できれば今夜切ってほしい!」というほうに針が一気に振れた。なんでかは自分でも分からない。あれほど大事にしていた長髪が、急にただの煩わしいものになった。うんこは、それまで自分の体の内側にあったのに、体の外に出した瞬間にただの汚らしいものになるが、本当にそんな感じで長い髪が急に疎ましくなった。長い長い、半年以上の排泄が終わったということなのかもしれない。
なかなかに短く仕立ててもらい、すっきりする。短くなっての、髪を洗って乾かす作業の簡便さは、あらかじめ予想が立ったため、実はそこまでの感動はなかった。それよりも風呂上がり、バスタオルを腰に巻いただけの状態で鏡の前に立ち、頭の具合を見ようと思ったのだが、頭よりも体に目が行って、うおっ、となった。鏡の中の僕は、いい体をしていた。これまで、せっせと筋トレをしているわりにぜんぜん筋肉がつかないと思っていたが、実はそんなことはなく、しかしこの半年、筋肉がつくと同時に、髪も伸びていたので、体の成長と、頭の体積の増大が同時進行し、相対的なスケール感にいつまでも変化がなかったのだと気が付いた。それが頭の体積が一気に削減されたため、体が大きく見えるようになったのだ。ライオンの逆の作用だな、と思った。
天体観測体験、みたいな企画に家族で参加した。さらりと書いたが、2月である。寒かったのはもちろんのこと、なにぶん山陰のことなので、雲が立ち込め、さらには途中から雨まで降り、なかなか十全には観測できなかった。もっとも観測のために山の中へ行くとか、そういう本気の催しではなかったので、そこまでの被害ではなかった。
プラネタリウムも見せてもらい、冬の夜空の説明を受ける。オリオン座や、おおいぬ座など、ほうほうと興味深く聞いた。天体の話って、取り止めがないのでこれまであまり好きではなかったのだが、わりと愉しく聞けた。これも花鳥風月みたいなものなのか、だんだん情趣が受け入れられるようになるのかもしれない。
冬の夜空の一等星の話を、神話も絡めて説明した後、「この6つを繋げてできる六角形が、冬のダイヤモンドです」などと言われ、思わずキュンとした。説明役は坊主で小太りの眼鏡の中年男性だったのだが、それだのに。天文話はずるいな。
「フレーズで振り返る20年の歩み」に投稿もしたのだが、2005年の9月に僕は携帯電話を新しくしていて、それまで持っていた携帯電話について、「メモリースティックがパソコンで読み取れなくて不便だった」と書いていて、わー! となった。
メモリースティック!
ソニーの携帯電話を使っていたので、記憶媒体がメモリースティックだったのだ。メモリースティックという存在を、本当に久しぶりに思い出した。言葉は思い出したが、形状が画像として浮かばなかったので、わざわざ検索した。そうしたらやはり、わー! となった。
18年前の日記、おもしろい。その少し前には、ホワイトバンドについても触れていた。時事ネタも、15年以上経つと感慨深くなるので、書いておくべきだな、と思った。