海底火山が噴火して、海に大量の軽石が流出して大変だ、という話があって、海とはわりと近い距離感で暮しているが、なにぶん日本海側なので、その危機感にはあまりピンと来ずにいる。ただ一連の報道の中で、「軽石を誤ってたくさん飲み込んでしまったウミガメが発見された」というトピックがあり、これには思うところがあった。すなわち、ウミガメはなんでも飲み込んでしまいすぎなのではないのか、ということである。ウミガメといえば、人間が捨てたスナック菓子の袋を飲み込んでしまって窒息死、という話が有名で、だから海をきれいにしなければいけません、なんてことが説かれるわけだが、今回の軽石の件で、海に人間の捨てたゴミが出てしまうのはもちろんよくないことなのだけど、しかしウミガメというのはどうやらわりとなんでも誤飲するようだぞ、ということが判明してしまったために、この話の説得力はこれから弱まるのではないかと思った。
ポルガの小学校のクラスで、5年生ともなるともうなかなかに面倒なようで、詳細はよく分からないのだが、女子の大半が授業をボイコットして図書室に避難する、という出来事があったそうで、このくらいの年頃の女子というのは、とみに集団になりたがる傾向があって、たぶん発端はわずかな人数の話だったのが、首を突っ込んできたり、慰めたり、諫めたり、あるいは単純に流れに乗って、あるいは仲間外れになるまいとして、どんどん人数が増えていって、そのような結果になったのだろうと思う。そのときポルガはどうしていたかといえば、「女子の大半」と書いたのは、全員ではないからで、先生が収束のために動き、授業が行なわれず自習となった教室で、ほとんど男子しか残っていない中、これは好都合とばかりに、その日の宿題をやっていたそうで、お前さすがだな、と思った。ポルガはいい意味でも悪い意味でも、本当に人の気持ちが分からない人間なので、今後も独自のポジションを確立し、周囲に妨害されずにやりたいようにやってくれたらいいなあと、親として思う。
寝つきが相変わらずいい。布団に横になってから、寝つくまでの、記憶がいつもない。当然である。記憶もなにも、その時間は存在がないのだ。横になった瞬間、僕はもう寝ているのだ。本当にあまりにも寝つきがいい。そうではないファルマンからは、たびたび恨みがましい口ぶりで、その寝つきのよさを揶揄されるのだが、「俺にだって寝つけなかった夜はある」と反論したところ、寝つくまでに時間がかかり、慣れていないものだから必要以上に慌て、騒ぎ立てし、ホットミルクを作って飲んだり、実にジタバタしたその夜は、「それはもう10年以上前の、練馬時代の、それもたったひと晩の出来事だよ」とファルマンに諭され、我ながら驚いた。前に寝つけずに困ったの、10年以上前のことなのか。つまり30代になってから、僕はいちども寝つきで困ったことがないのか。寝つきがいいのって、なんとなく阿呆な子のエピソードっぽさがあり、逆に寝つきが悪いのって、なんとなく知的なイメージがあり、納得がいかない。われわれ夫婦でいえば、それは真逆に顕れているから。