2021年10月30日土曜日

野戦・貧困・お知らせ

 季節の変わり目で、寒暖差も大きく、体調管理に四苦八苦している。さらには今週は子どもが順繰りに風邪を引いたこともあり(おろち湯ったり館のプールがいけなかった。やはり子どもは夏場以外のプールはダメなのだと悟った)、タイトロープの上を渡るような、とても緊迫した日々だった。結果的には必死の摂生により、大崩れは免れた。しかし喉に「おや?」というような気配はあったし、これもまた体調崩しかけの兆候のひとつに違いない、目がやけに痒くて充血して涙が出まくる、という症状も出た。目は軽い炎症のようで、目薬を差して、普通に過ごしている分には問題ないのだが、どうも寝ている間には自制心が掻き消え、違和感に対して思うがままに擦ってしまうようで、そのため朝起きたときがいちばん痛かった。こうなったら寝る際、喉を守るためにマスクを、目を守るために眼帯をして寝ようかな、と思ったが、それってどんな野戦病棟だよ、と思ってやめた。喉も目も、今はもう落ち着いた。乗り切った。

 生理の貧困ということがいわれ、切実だなあと思う。ナプキン代、たかが数百円ともいうが、数百円が少し重たく思える財布の状況って、たしかにある。男にはないその出費は、女性に課せられたハンデのひとつであるに違いない。そしてこういう話のときに、どうしても思い出されるのは、岡村隆史のことだ。ポロっと出てしまったいちどの不適切な発言を、何度もほじくり返すんじゃない、それはイジメだ、とも思う。いつまでも失敗を許してあげない社会には問題がある、とも思う。そう思うし、彼がいま普通に芸能活動していることも別に構わないが、とはいえやっぱり、普通に考えて、NHKの子ども向け番組は、降板すべきだったろうと思う。それはイジメでもなんでもない、当たり前の制裁だ。あの発言をした人が、あの番組に変わらず出続けているのは、やっぱりどうも釈然としない。間違っていると思う。

 10月もぼちぼちおしまいで、紅白歌合戦の司会も発表となり、そろそろ1年の締めくくりが意識される時期だが、僕のブログに関しても、ここで大事な発表をしておく。
 毎年この時期は、11月23日、破皮狼感謝の日に発表となるcozy ripple新語・流行語大賞に向けて、この1年間で書かれたブログ記事を読み返し、フレーズをピックアップする作業に励むのだけど、今年はそれを一切していない。なぜか。今年はcozy ripple新語・流行語大賞の開催が見送られる運びとなったからだ。ここ半月ほど、30分ブログの発明によって気を吐いているが、年間という単位で見ると、今年は記事の投稿数があまりにも少なく、ここからノミネートにふさわしいフレーズを抜き出すのは不可能であると、運営本部は判断をした。よって第13回cozy ripple新語・流行語大賞は、2022年に2年分の記事を対象に行なう。期待してくれていたファンには申し訳ないが、来年は必ずや充実したボリュームでの開催を実現することを約束する所存なので、悪しからずご承知のほどをお願い申し上げる次第である。

2021年10月25日月曜日

すっかり気分がよくなった話3連発(ただの自慢話)

 オーバーオールが欲しいが、街でオーバーオールを着ている男を見ると大抵は嫌な気持ちになるので自重している、ということを数か月前にツイッターで呟いたが、そのあとオーバーオールどころかサロペット、それも女性用のものを買って、夏用の薄手の素材だったので、今年の夏はそればかり着ていた。とはいえ傍から見て異様なのか異様じゃないのかよく分からず(ファルマンにファッションのことを聞いてもしょうがないし)、まあいいやと思って過していたのだが、あるとき近所のスーパーで買い物をしていたら、レジの女性から、「とてもおしゃれな格好をしていますね。そういうの、どこで買うんですか?」と訊ねられたので、すっかり気分がよくなった。あなたたちはスーパーで食料品の買い物をしていて、レジの店員さんに服を褒められたことがありますか。その一件以来、確信を持って着ることができるようになった。ところが夏の終わり、ファルマンの実家に顔を出した際、僕のその格好を見た義母が、「スーパーマリオかと思った」といったので、ぼちぼち寒くて着られなくなるタイミングだったこともあり、ぽっきりと心が折れ、その日で今年のサロペットは終わった。でも客観的に見て、サロペットにキャスケット、たしかにマリオだった。期せずしてマリオのコスプレみたいになるなんてことがあるんだな。

 職場で同僚から年齢を訊ねられ、岡山では常に嘘をついて、10歳くらい若く答えていたのだが、こちらではまだそこまで心がほぐれていないこともあり、そのままの年齢を答えてしまった。しかし「38」の十の位、「さんじゅう……」といった時点で相手が「えー!」と声を上げ、それから「はちです」というと、「そんなに? ぜんぜん見えない!」と驚いてくれたので、すっかり気分がよくなった。特に、「さんじゅうはちです」に対してではなく、十の位の時点でびっくりしてくれた点、すなわちそれは20代と捉えていたことを意味するので、とても嬉しかった。僕も今度やろうと思う。十の位の時点で驚くやつ。

 先日ローソンで買い物をしていたら、僕が提げていたオリジナル生地のヒットくんバッグを見て、20代前半くらいの女性の店員が、「すごくかわいいバッグですね。どこで売ってるんですか?」と話しかけてきてくれたので、すっかり気分がよくなった。世の中にはいろいろな褒めパターンがあるけれど、ローソンのアルバイトの20代前半の女性の感性からの褒めというのは、なかなかの上位に入ってくるのではないかと思う。なぜなら、もうそれは世間の若者そのものだからだ。ローソンの店員に訴求するということは世間に訴求するということである。さっぱり売れないものだから少々不安になっていたが、なんだよ、やっぱり世間にはとても好意的に受け入れられるんじゃないか、と安心した。ちなみにその問いかけに対してどう答えたかというと、僕が義兄のような積極的な人間であれば、これは自分のパパポッケというレーベルのオリジナル商品で、minneで販売しているんですよ、ということを普通に伝えるのだろうけど、もちろんそんなことはできず、「ありがとうございます、ネットです……」と答えるのが精一杯だった。こういうところなんだろうな、としみじみと思った。でも本当に嬉しかった。

2021年10月21日木曜日

WATAONI、ボディメンテ、二の腕

 ほんの1、2ヶ月前のことだが、ファルマンが母親に「THIS IS US」を薦めたところ、義母はドハマりし、今現在アマゾンプライムで公開されている全てのシリーズを、あっという間に観終わったらしい。有閑マダムの海外ドラマ視聴の勢い、半端ないな。
 そして最新話まで観終えた余韻に浸りながら、感想としてファルマンにこういったという。
「うちの家でもあんなお話を作ってほしいわ」
 それを聞いてファルマンは、
(うちで「THIS IS US」を作ろうとしたら、それは「渡鬼」……)
 と思ったが、口には出さなかったそうだ。英断だと思う。
 まあ「THIS IS US」は、ただ人間関係・家族関係を描いた話ではなく、時代が行ったり来たりするところに骨子があるので、「渡鬼」や「北の国から」とは、同じようでぜんぜん違う。逆にいうと、「渡鬼」を再編集して、「THIS IS US」方式にしたら、むちゃくちゃおもしろくなるのではないかともちょっと思った。なにぶんこっちは子役も本人だ。説得力の重みが違う。僕はもともと「渡鬼」も好きだし、それが「THIS IS US」の手法で描かれたら、掛け算でとてつもないパワーになるかもしれない。誰か暇な人が作ってくれないだろうか。

 先日子どもたちと公園を歩いていたら、山がそのまま公園になっているタイプの公園なので、遊歩道の途中にお地蔵さんがあって、やはり散歩をするお年寄りが多いからか、管理が行き届いている様子で、お供え物も充実していた。
 そのお供え物の中に、まんじゅうやペットボトルのお茶に混ざって、大塚製薬の「ボディメンテ」が並んでいたのが、すごく印象に残っている。
 まだけっこう暑い時期だったので、百歩譲ってポカリやアクエリアスならば、「お地蔵さんのことをマジで親身に思う、心の優しいお年寄りがいるもんだな」くらいの感想だったろうが、これが「ボディメンテ」となると、ボケが高等というか、お年寄りの話題でボケというキーワードを出すと話がややこしくなるが、いろんな意味で「意識が高いな!」と思った。

 相も変わらずそれなりに筋トレをして、それなりにプロテインを飲んでいるが、それなりの半分くらいの度合の効果しか得られていないような、いや、それらの行為をしていなければ、30代も後半になり、滅法ひどいことになっていたところを、現状維持できているのだから御の字と考えるべきだという気もするような、結局ずっとそんな感じである。
 ところで先日、やはりプロテインを飲もうとして、シェイカーに低脂肪乳やらプロテインやらミロやらを入れて、溶かし混ぜるために思い切り振ったところ、半袖から伸びた二の腕が、この表現はあまりよくない気もするが、しかしあまりにもそれだったのであえて使うが、夏にノースリーブで手を振る中年女性のそれそのもので、すなわち筋肉とはあまりにも無縁の、脂肪しかないような具合で、しかしそんな二の腕で、なにをしているのかといえば、プロテインを溶かすためにシェイカーを振っているわけで、さすがに「おかしいな?」と思った。おかしいな、飲んだプロテインと筋トレの効果、どこへ行ってんのかな。配線が間違ってて、それら入力したものの出力先が、僕以外の誰かのところへ行ってしまっているんじゃないか。誰か、心当たりないのに二の腕がやけにムキムキな人、いませんか。それたぶん、僕のです。